FM 今月のポイント(2017年 1月)
☆ 新年明けましておめでとうございます。
皆様におかれましてはつつがなく新しい年をお迎えのこととお慶び申し上げます。
*今年は穏やかな三が日のような年初相場を期待したいところです。昨年は「まさか」の連続でした。先ず最初に襲ったのは中国株の急落です。日経平均株価は年初来6日続落、この時点で年間の相場展望に期待を失った投資家が多かったと思われます。結局、2月まで続落し、日経平均株価は 14,800円台を付けました。6月まで持ち直したものの、次の「まさか」は英国が国民投票でEU離脱を決定したことです。投票翌日の日経平均株価は 1,286円安と歴代8位の下落幅を記録しました。この時点で投資家の多くは年末高相場への僅かな期待を捨て去ったものと思われます。昨年最後の「まさか」が 11月の米大統領選です。事前の予想を覆し、リスクの塊のようなトランプ氏が当選を果たしました。取引時間中に結果が判明した日本株は急落、日経平均株価は919円下落しました。本当の「まさか」は翌日からで、あっという間にトランプリスクがトランプラリーに変わったことです(翌日の日経平均株価は歴代 13位となる 1,092円の上昇幅となった)。結果的に日経平均株価の年間値幅は 4,500円に達し、2013 年以来3年振りの高水準となりました。年初相場と年間相場の理論的因果関係はわかりませんが、昨年の年初6連続安が年間相場を象徴していたことは間違いないと思われます。今年の相場が天候のように穏やかなスタートとなることを切に望んでいます。
*今年は政治の季節になりそうです。トランプラリーにしても経済ファンダメンタルズを横に置いた政策期待先行相場です。トランプ化の波が欧州に飛び火、場合によっては過激なポピュリズムが台頭し反グローバリズム、反資本主義のうねりがますます高まる危険性があります。最初の試金石は3月15日のオランダです。難民排斥を主張している極右政党・自由党(ヘルト・ウィルダース党首)の支持率が現状で 30%を超え首位に立っています→総選挙で与党となる可能性が高まっています。5月のフランス大統領選も重要です。早々とオランド現大統領が出馬を断念、今のところは共和党の元首相、フィヨン氏が優勢と見られていますが、極右の国民戦線ルペン党首の勢いも侮れません。秋に総選挙が行われるドイツではメルケル首相が4選を目指していますが、反イスラム、難民排斥を掲げる AfD(ドイツのための選択肢)が危機感を煽り、じりじりと支持率を高めています。内向きの政治が世界的な財政緩和の流れを創り、金融緩和と相まって世界的な経済成長率を押し上げる期待もありますが、地域独善主義が世界貿易拡大、資本交流拡大を阻害する懸念もあります。昨年末に真珠湾を訪れて「和解の力」で強固な日米同盟を訴えた安倍首相ですが、実利を尊び、理念を軽視するトランプ大統領が日米同盟強化に力を注ぐ保証はありません。就任と同時に TPP を無効にすることが想定され、実利が伴えば南シナ海の問題でも中国に譲歩するとの観測もあります。極東地域、東アジア全域の地政学的リスクは高まる方向です。
*政治が絡むと世界的なリスク市場のボラティリティは増大します。過剰流動性に乗っている相場状況において投資家の心理状態が猫の目のように変化しやすいからです。昨年以上にボラタイルな相場状況を想定しながら、変動に対応する力(リサーチ、ストラテジー、歴史観、相場観?)を磨いて運用パフォーマンスの向上を目指して行きます。
☆本年も変わらぬお引き立ての程よろしくお願い申し上げます。 皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。
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