FM 今月のポイント(2015年5月)
*4月後半から日本株市場は不安定な状況に入りつつあるように見えます。特に4月末において日経平均株価が538円安と、1年3ヶ月振りの下げ幅を記録したことから(週間では488円安:2.4%:今年最大の下げ幅)、今年もsell in mayへの懸念が大きくなりました。そもそも5月相場は戦後66回中32回上昇で勝率は48.5%であり9月に次いで成績の悪い月であることは間違いありません。今回の変調の理由は多々ありますが、主因は世界的なマネーフローの変化の兆し(懸念)です。年初以来、世界的な過剰流動性モメンタム拡大の中で好調米国経済、不調欧州経済、下向き新興国、そこそこ日本という構図が画かれてきました。ポイントは米国が牽引して世界経済の落ち込みは無いが、過剰流動性拡大が止まるほどには景況感は強くならないということです→実体経済を映す原油価格、CRB等が大幅に下落基調を続ける中、有り余った マネーが世界の債券価格を押し上げ(世界主要市場でマイナス金利が示現)、それでも足りずに株式マーケットに流入した結果の世界株式の最高値圏示現です。その構図に疑念を生じさせたのが米1~3GDPです→前期比年率0.2%のプラスと辛うじてマイナス成長を免れましたが、事前予想の1%に比べて大幅な下振れです(5月3日に発表された米貿易収支が6年半ぶりの赤字幅に拡大して、GDP改定値がマイナスに陥ると予想されている)。さらにISM製造業景況感指数が3月まで5カ月連続、コア耐久財受注が3月まで7カ月連続で低下していることもあり、米国経済の想定に狂いが生じています。繰り返しますが、直近までの株高の背景は世界的な過剰流動性拡大(大金融緩和継続)の中で米国経済が世界経済のアンカーとなることがポイントです。
*ドイツの物価上昇の兆しもマネーフロー変化懸念を加速しました。4月29日に発表された4月ドイツCPIは前年同月比0.3%上昇と、3月の0.1%上昇に続いてデフレ懸念の後退を感じさせるものになりました。ECBの強力な金融緩和の基、ユーロ安もありドイツ企業の業績拡大を囃して史上最高値圏にあったDAX指数は大幅に反落基調となり、低下が続いていたドイツ10年債利回りは0.585%まで上昇しています。年初来、横ばいの米国株式市場を横目に堅調を続けたDAX指数の背景は米国株からの資金シフトです。ドイツに遅れて日本株も米国株からの資金シフトの受け皿となりました→市場参加者の想定よりも早めに日経平均株価が2万円大台を突破した主要因です。現局面で(米国景況感下ブレ、ドイツ景況感上ブレ)ユーロドル相場は上昇が顕著になっています→米国売り、ドイツ買いのポジションが急激に巻き戻されていることがわかります。そのポジション調整に巻き込まれる形で日本株も一時的な調整を余儀無く されました(実際の外国人投資家売りは軽微、連想によるヘッジファンド等の売り仕掛け)。
*冷静に考えれば、前述の構図(世界的な過剰流動性モメンタム拡大の中で好調米国経済、不調欧州経済、下向き新興国、そこそこ日本)に大きな変化は無いと思われます。FRBが指摘しているように寒波、大雪の影響を脱して(マクロ経済的にも米国企業業績を圧迫したドル安、原油安は止まっている)4~6は大きく反転する可能性が高いと思われます。ドイツにしても日本の経験からすればデフレトレンドが大きく変化するとは考えられません(ギリシャ問題も燻り続ける)。暫くは大きな上昇を期待できない日本株ですが、sell in mayと嘆くほどには調整が長引かないものと思われます。
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