英国の金融政策について~インフレレポートと為替相場の行方
- 金融政策委員会(MPC)で政策金利は0.75%と据え置きでした。安定したインフレの下で様子見です。
- 四半期インフレレポート(QIR)では、インフレ率、GDP成長率、政策金利すべてが下方修正されました。
- 金融政策スタンスがBrexit警戒モードにシフトしたといえ、英ポンドは上昇を抑えられると考えます。
19年を大きく下方修正
イングランド銀行(英中央銀行、以下、BOE)は、6-7日に開かれたMPCで、政策金利の0.75%据え置きを決定しました。CPIが12月で前年同月比+2.1%、コアは同+1.9%と目標としている+2%近辺でおおむね安定しているため、様子見となりました。
しかし、同日BOEが発表した四半期インフレレポート(QIR)では、BOEが、迫るBrexit(英国のEU〔欧州連合〕離脱)に際し、警戒モードになったことが示されました。19年、20年については政策金利、実質GDP成長率、CPIすべてが下方修正となり、特に19年は一旦大きな景気減速が想定され、同時にインフレも減速、利上げが年内実施されない可能性もあるという見通しになりました。もっとも、20年後半以降は景気は持ち直し、21年は実質GDP成長率が上方修正されています。Brexitの影響は大きいものの長引くことはないという想定になっていることが分かります。
極端なポンド安の可能性は低い
ポンド相場は、世界的な資本市場の動揺から、年末に一時大きく下落する局面もありましたが、その後は持ち直していました。しかし、no deal Brexit(合意無きEU離脱)が現実味を帯びるようになって以降は、下落に転じていました。
今回、BOEが政策金利、景気、物価を下方修正してきたことは、改めて金利の先行き上昇期待が乏しいことを意識させるものです。当面、ポンドは上昇を抑えられる展開を余儀なくされると考えます。しかし、ポンド安→景気刺激、ポンド高→景気抑制になりやすいことから、極端にポンドが上昇、下落する展開は考えにくいと思われます。BOEが利上げを見送って、仮に大幅なポンド安となれば、19年は意外と景気が下支えされる可能性もあり、その場合はポンドが反発する局面も十分考えられます。それが勘案され、実際には1ポンド1.25~1.35ドルを中心に上下する展開が見込まれます。
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