ブラジルの金融政策(2月)~金融政策スタンスとレアル相場の展望
- 政策金利は6.5%で据え置きでした。インフレ率が安定しており、景気重視の姿勢が維持されました。
- 19-20年は、インフレ率は目標圏内で安定し、景気回復に沿った緩やかな利上げが想定されています。
- 通貨レアルは、新政権の経済構造改革への期待と対米金利差縮小の一巡で持ち直す展開と見ています。
中銀は安定した経済環境を想定
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、5-6日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利を6.5%に据え置きました(全会一致)。18年3月で利下げを打ち止めして以来、7会合連続の据え置きです。
インフレ率は、依然落ち着いています。12月のCPIは前年同月比+3.75%と、トラック業界のストによる物流停滞で一時上昇した動きが沈静化しつつあります。コア(食品・エネルギー除く、試算)は同+3.09%で、11月から若干上昇したものの、インフレ目標(+4.5±1.5%)の下限近辺と、大きく加速するリスクは当面小さいと見られます。
中銀は、19年、20年の年末の政策金利をそれぞれ6.5%、8.0%と想定し、インフレ率を同じく、+3.9%、+3.8%と見込んでいます。前回会合(12月11-12日)での想定と比較すると、19年末の政策金利が7.5%から下方修正されました。これは、低金利を維持してもインフレの安定は維持されるとの見方です。新政権の経済構造改革への期待もあり、長年インフレ体質と言われたブラジル経済の構造変化を、ある程度念頭に置いた想定と見られます。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
プラス要因が増えている
レアル相場は、大統領選挙(18年10月)以前は、米金利上昇と政治不安が逆風となり下落基調でした。選挙後は切り返したものの、経済構造改革への不安が根強く、米国で利上げが続いていたこともあり、上昇の鈍さが目立ちました。
年明け後、米金融当局が利上げ打ち止めを示唆し、対米金利差縮小が止まりつつあります。また、ボルソナロ新政権は、中道勢力と連携して経済構造改革を推進する姿勢であり、市場の期待が高まっています。昨年のマイナス要因がプラス要因に転じ、レアル相場は持ち直しが期待されます。
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