ユーロ圏の12月物価・11月雇用~19年見通しとユーロ相場への影響は?

2019/01/10
  1. 12HICPは総合が前年同月比+1.6%、コアが同+1.0%。原油高の影響が剥落してきています。
  2. 11月失業率は7.9%と10年ぶりの8%割れです。ペースを緩めつつも雇用環境は改善が続いています。
  3. 年内利上げの可能性は低下も、米利上げの打ち止め接近で、ユーロはやや持ち直すとみています

10年ぶりの低失業率も低インフレ続く

Eurostat(EU統計局)が発表した12月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+1.6%、コアは同+1.0%でした。総合は11月の+1.9%から低下しました。エネルギーが11月の同+9.1%から同+5.5%となり、原油安が大きく影響したと見られます。一方、コアは、+1%前後の上昇率が1年以上続いています。賃金の上昇が目立ちつつありますが、インフレ率は低位のままです。

また、11月の失業率は7.9%でした。08年10月以来約10年ぶりの8%割れです。このところ、失業者数の減少が鈍ってきていますが、雇用環境の改善はまだ続いています。イタリア、スペインの失業率低下(10月→11月、それぞれ10.6%→10.5%、14.8%→14.7%)が全体の押し下げに寄与しました。周辺国でも失業率の低下した国が目立ちました。

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金融政策正常化は慎重もユーロは緩やかに持ち直し

19年のユーロ圏は景気が減速し、低インフレが続く可能性が高いと予想しています。ECB(欧州中央銀行)は、金融政策正常化を模索しつつも、景気に配慮した慎重なスタンスをとると見込まれます。現行のマイナス金利(各国中銀への預け金金利:-0.4%)は当分維持され、年内利上げの可能性は低下したと見ています。

ユーロ相場は景気減速に加え、域内の政治リスク増大もあり、18年春以降、軟調に推移してきました。足元も頭の重い展開です。今後は、米国の利上げ打ち止めが近付いていることから、米欧金利差縮小への期待が高まり、対ドルではやや持ち直す方向が予想されます。対円でも底堅い展開と見ていますが、ドル安・円高の影響で相対的に上値が抑えられると見込まれます。

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