12月の米国雇用統計~景気のピークをどう見極めるか?
2019/01/07
<投資信託>
- 12月NFPは前月比+31.2万人と大幅増加でした。年間では+266万人、前年以上の増加でした。
- 賃金が前年同月比+3.2%と堅調でした。個人消費が刺激されやすい良好な所得環境が続いています。
- 米国景気のピークを見極めるには、雇用の増加ペースが平均的に鈍化してくるかがカギと考えます。
労働市場への参入増加
4日、米労働省が発表した12月の雇用統計速報では、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+31.2万人でした。非製造業中心に大幅に増加しました。月別では上下はあったものの、結局月平均で20万人規模の雇用の増加ペースが維持されました。年間では+266万人、17年の+226万人を上回る増加となりました。
一方、失業率は3.9%と、前月比+0.2ポイントでした。失業者が前月比+27.6万人と増加したことが影響しました。ただしこれは、非労働力人口が同-23.7万人と減少したことが背景となっており、これまで就職意志のなかった人が、新たに求職活動を始めたことがうかがわれます。したがって、失業率上昇は雇用環境悪化を示したものではないと考えます。
また、民間企業時間当たり平均賃金は前年同月比+3.2%と、3ヵ月連続の+3%台となりました。個人消費が刺激されやすい良好な所得環境が続いています。
雇用の増加ペースに注目
利上げの累積的な効果により、19年の米国景気は減速が予想されます。今のところ、実質GDP成長率がマイナスになる景気後退まで悪化するとは見ていませんが、今後の景気を見極める上で、雇用の増加ペースがカギになってくると考えます。
過去のNFPと景気循環との関係を見ると、山(ピーク)は両者がほぼ一致する傾向にあります。また、NFPの山に先立って増加ペースが鈍化する傾向があり、今後、数ヵ月間の平均的な雇用増加数が20万人を下回る状況となれば、景気の山が近いとして、利上げ打ち止めの可能性が高まると考えられます。
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