ユーロ圏の12月景況感について~急な悪化をどう見るか?
- ユーロ圏の12月景況感は総じて弱さが目立ちました。年末年始も景気減速が続いてしまいそうです。
- 景気減速観測に加え、欧州主要国の政治問題深刻化が経済活動を慎重化させていると見られます。
- 政治問題は悲観に傾きやすいものの、方向性が出ると急に改善する面もあると、留意すべきと考えます。
心理的な圧迫
ユーロ圏の12月の景況感各指標は総じて弱く、年末年始も景気減速が続く様相を呈しています。14日、IHSMarkitが発表したPMI(総合)は、前月比-1.4ポイントの51.3でした。製造業が同-0.4ポイント、サービス業が同-2.0ポイントと、内需の冷え込みがうかがわれます。フランスのデモ激化が一部影響したと見られます。また、18日にCESifoが発表したドイツ企業景況感指数(ifo指数)は前月比-1.0ポイントの101.0(15年=100)でした。輸出の伸び鈍化が影響し、製造業中心に落ち込みました。
ユーロ圏の景況感は、夏場に持ち直す兆しもありました。ここに来て景況感がさらに落ち込んだことについては、第一には、米国での利上げの累積的効果で、世界的に景気拡大がピークアウトするとの観測が高まったことが挙げられます。また、ユーロ圏特有の要因としては、欧州主要国での政治問題(ドイツ:メルケル政権弱体化、フランス:デモ激化、イタリア:予算でEUと対立、イギリス:無秩序なEU離脱への懸念)が心理的な圧迫になっている面も色濃くあると思われます。
政治問題は事態の急変も有り得る
ユーロ相場は、景況感の低下にしたがい、重々しい展開になっています。ECB(欧州中央銀行)は金融政策正常化の方針を堅持していますが、実際にはより慎重にならざるを得ないと、市場は捉えていると見られます。
なお、政治問題は先行きが読みにくいため、悲観的になりやすい面があります。事が深刻な場合はなおさらです。しかし、一旦方向性が出てくると、急速に悲観が後退する面も持ち合わせています。ユーロ圏経済は循環的に底堅い局面と見られ、ユーロ相場は、政治問題の進展による反発の可能性も留意すべきと考えます。
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