ブラジルの金融政策(12月)~今後の金融政策とレアル相場の行方
- 政策金利は6.5%で据え置きでした。インフレ率が安定しており、景気重視の姿勢が維持されました。
- 19-20年は、インフレ率は目標圏内で安定し、景気回復に沿った緩やかな利上げが想定されています。
- 通貨レアルは、新政権への不安増大で神経質な相場展開ですが、景気回復傾向が下支え要因です。
中銀は安定した経済環境を想定
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、12月11-12日のCopom※で、政策金利であるSELIC◇金利を6.5%に据え置きました(全会一致)。3月の利下げ以来、据え置きが続いており、やや緩和的な、景気重視の姿勢が維持されました。
インフレ率は、トラック業界の大規模ストで物流が滞り、一時的に上昇したものの、足元はそれが剥落しつつあり、11月のCPIは前年同月比+4.1%と低下に転じています。コア(試算)では、その動きがさらに鮮明で同+2.9%と、スト以前の水準に戻っています。
中銀は、20年までのインフレ率、政策金利の想定を発表しました。インフレ率は+3%台後半で推移、政策金利は20年末で8.0%としています。前回会合(10月30-31日)では、19年末でインフレ率+4.2%、政策金利8.0%としていたので、インフレはより安定化するとの想定です。今後、景気回復に沿って、徐々に景気に緩和的な水準から中立的な水準に近付けていく姿勢といえます。
景気循環が上向きなことがプラス
レアル相場は、米国での利上げ、米中貿易摩擦の影響に対する懸念、さらに10月に実施された選挙に対する警戒感などから、年初から下落傾向が続いていました。選挙終了後は警戒感が解かれ、一旦大きく反発しましたが、足元では新政権に対する不安感増大から軟調です。
来年1月1日に大統領に就任するボルソナロ氏は、構造改革を推進する立場であり、市場はおおむね肯定的ですが、自身が率いる社会自由党が議会では少数派のため、今後の議会運営次第では改革が遅れるという懸念があり、レアルとっての足かせです。一方、循環的な景気回復局面にあることで、前向きな投資資金の流入が期待でき、こちらは下支え要因と考えられます。目先は神経質な動きも想定されますが、中長期的には底堅いと考えます。
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