英国の18年7-9月期GDP速報~ポンド相場への影響は?
- 実質GDP成長率は前期比年率+2.5%でした。輸出が寄与した一方、在庫減が内需を押し下げました。
- 企業投資は3期連続マイナスでした。EU離脱が接近し、企業が新規投資を手控える動きが広がりました。
- EU離脱をめぐって通貨ポンドはやや神経質な展開も、景気動向に応じたレンジ相場が予想されます。
底堅い景気、企業投資は低調
9日、ONS(英国家統計局)が発表した18年7-9月期の実質GDPは、前期比年率+2.5%でした。2期連続で成長率が上昇し、英国経済は底堅く推移しています。なお、前年同期比は+1.5%でした。
実質GDP成長率に対する寄与度は内需が-0.6%、外需(輸出-輸入)は+3.2%でした。また、内需の内訳は、個人消費が+1.4%、固定資本投資が+0.6%と底堅かった一方、在庫投資が-3.0%と大幅なマイナス寄与となりしました。固定資本投資は、うち企業投資が-0.5%と減少が目立ちました。企業投資は3期連続でマイナスとなっており、EU(欧州連合)離脱が近付き、事業環境が不透明なことが、新規投資を鈍らせていると見られます。アムンディでは、英国経済は今後2、3年、+1.5%内外の成長率になると予想しています。潜在成長率(+1%台半ば)とほぼ同程度です。EU離脱後も投資活動の鈍化が続くと見込んでいます。
英ポンド相場はもみ合い続く
ポンド相場は、国民投票によるEU離脱選択(16年6月)後にショック的なポンド下落に見舞われた後は、比較的狭い範囲で上下する展開になっています。国民投票直後は、英国からの資本流出を理由にポンド相場の先行きに悲観的な見方が目立ちました。しかしその後は、ポンド安が景気を押し上げ、見直されてポンド高になると景気が冷えるといった展開となり、今では、EU離脱という理由だけで一方的な動きはしないという見方が定着しています。
今回、やや高めの成長率となったこと、インフレ率が目標である+2%台で推移してることから、年1回程度の緩やかな利上げを想定している中銀(BOE、イングランド銀行)にとっては、政策を遂行しやすい経済環境になっていると見られます。ポンド相場は、EU離脱に係る交渉の妥結が近いとの見方から足元やや上昇していますが、ポンド高が進めば対外競争力がおち、ポンド安に転じるというように、当面は比較的狭い範囲を上下するレンジ相場を形成すると見込まれます。
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