英国の金融政策について~インフレーションレポートと為替相場の行方

2018/11/02
  1. 金融政策委員会で(MPC)では政策金利が0.75%で据え置かれました。8月利上げの効果を見極めます。
  2. 同日発表のインフレーションレポート(QIR)では、インフレ率と政策金利が小幅に上方修正されました。
  3. 政策スタンスは大きく変わらず、EU離脱への根強い不安感から、英ポンドは安値圏を上下しそうです

全般的に小幅修正

イングランド銀行(英中央銀行、以下、BOE)は10月31日にMPCを開き、1日、政策金利を0.75%に据え置くと発表しました。8月に0.5%から引き上げ、9月の前回会合に続いて、その効果を見極める姿勢を維持しました。

インフレ率はおおむね安定しています。最近半年程度のCPIは、総合が前年同月比+2.5%前後、コア(食料、エネルギー除く)は同+2.0%前後で推移しています。同日、BOEが発表した四半期インフレーションレポート(QIR)では、インフレ率は、原油高、ポンド安によるインフレ圧力で、足元が小幅に上方修正されました。しかし、+2%への収れん時期が21年との見通しは変えていません。また、政策金利は、年1回0.25%の利上げペースの想定を変えていませんが、その時期が1四半期程度前倒しされました。また、8月時点では明らかでなかった21年も、0.25%程度の利上げを続けることを想定しています。

201811022

EU離脱後の景気・物価は依然不透明

足元でポンド相場は軟調です。EU(欧州連合)からの離脱に係るEUとの交渉は、金融機関のEU市場へのアクセスで暫定合意が近いなどのポジティブな報道も聞こえてきています。それでも、離脱後の英経済に対する不透明感は拭えず、刻一刻と離脱期限が迫る中で、積極的なポンド買いが見られない状況です。

金融政策スタンスが大きく変わらない下で、ポンド相場は当面安値圏でもみ合う展開が予想されます。ポンド安が進行すると、輸出が刺激されて景気が押し上げられたり、輸入物価上昇を通じてインフレ率が高まったりして先行き金利上昇期待が拡大し、ポンドの下支え要因になると見られます。一方、引き続きEU離脱後への不透明感は根強く残るため、両者の強弱によって、変動する範囲の上下はあるものの、一方的な上昇、下落はなく、基本的には1ポンド1.3ドル台前半を中心に推移すると見込まれます。

201811023

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