ブラジル大統領決選投票ついて~為替相場への影響は?

2018/10/29 <>
  1. 28日の大統領選挙決選投票は、下馬評どおり、予備選でトップであったボルソナロ氏が当選しました。
  2. 自由主義的な政治姿勢で、悪化している治安状況の改善、汚職撲滅、財政健全化に期待が掛かります。
  3. 通貨レアルは、政治リスクの後退で当面は底堅い展開。その後は政策運営の巧拙が問われます

市場もおおむね好感

28日、ブラジル大統領選挙の決選投票が行われ、7日の1次選挙での得票がトップであった、右派・社会自由党党首で代議員(下院)議員、元軍人のボルソナロ氏が55.1%の得票率で当選しました。1次選挙の得票率(46.0%)に、その他の右派、中道などの票を一部取り込み、アダジ氏(中道左派・労働者党、元サンパウロ市長)に1000万票余りの差をつけ、余裕を持っての当選でした。

ボルソナロ氏は女性蔑視やマスコミ批判などの過激発言で物議を醸すこともありましたが、自由主義を掲げつつ、ブラジルの伝統も重視する立場です。国民から批判を浴びている既存政党の汚職体質是正のほか、悪化している治安状況の改善を目指すとしています。また、テメル前政権が取り組んでいた社会保障制度改革などの財政健全化政策を踏襲すると見込まれ、国民のみならず、市場からもおおむね好感されています。

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ここからは「お手並み拝見」

レアル相場は強含みの展開です。年初から、米利上げによる新興国からの投資資金シフトの影響や、政治的な不透明感から下落が続いていました。ところが、9月半ば以降、ボルソナロ氏が支持を伸ばすにつれて反転し、選挙後は政治リスクの後退が好感され、足元は対ドルでは1ドル3.6レアル台。対円では1レアル30円台と、5月頃の水準まで戻しています。

選挙結果にかかわらず、選挙が終了すれば反発に転じるという見方であったため、ほぼ予想通りの展開です。しかも、アダジ氏が当選すれば、左派的な政策スタンスで財政健全化が後退しかねないという不安もあったため、ボルソナロ氏当選でさらに市場からの好感度が高まったと見られます。ただし、右派色の濃い大統領が、中道から左派も含めた勢力をまとめ上げていけるかは、今のところ白紙です。米利上げの影響は、大方織り込んだと見られ、今後は新政権の政策運営の影響が大きくなると思われます。また、景気後退からようやく脱した経済をしっかりした回復軌道の乗せられるかも重要な材料になると思われます。

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