米国の18年7-9月期GDP統計速報~今後のドル・円相場は?
- 実質GDPは前期比年率+3.5%でした。個人消費主導の成長です。在庫投資の増加が目立ちました。
- 当面は政策効果で高めの成長が続くものの、利上げや貿易制裁の影響で徐々に減速すると予想します。
- 利上げは19年前半まで3回を見込んでいます。利上げ打ち止めの議論も盛んになると見込まれます。
高成長持続も中身に変化
26日、米商務省が発表した18年7-9月期の実質GDP(速報)は、前期比年率+3.5%でした。4-6月期から減速しましたが、潜在成長率(+2%程度)を上回る景気拡大ペースです。今回の成長率に対する寄与度は個人消費中心でした。+2.7%分の寄与でした。4-6月期を0.1ポイント上回り、雇用・所得環境の改善に加え、減税もプラスに影響していると見られます。
一方、在庫投資が+2.1%分の寄与でした。好調な個人消費を受けた在庫積み上げがうかがわれます。自動車など耐久消費財の在庫増加が目立ちました。これと関連して輸入が増加し、純輸出(輸出-輸入)は-1.8%分とマイナス寄与でした。自動車の輸入増加が見られました。また、設備投資が+0.1%分の寄与と大きく減速しました。鉱業関連、IT、輸送用機器、調査研究など幅広く減速しました。最近数四半期が堅調であった反動が出たと見られます。当面は減税効果で高めの成長が続くものの、利上げや貿易制裁の影響で徐々に減速すると予想しています。
基本的には根強いドル選好続く
ドル・円相場は、米国の長短金利双方が上昇する中で、ドルが選好される流れが根強く、円安水準で推移しています。好調な米国景気を受けて金融当局の利上げが続き、経済に対する信頼感も高いことが背景となっています。
株式市場が、高値ながらも短期的な値動きが大きくなり、「利上げの先」を見越した不安感が出てきていますが、ドル・円相場は目先は底堅く推移すると見ています。利上げは19年半ばまでに3回0.75%を予想していますが、年末にかけて利上げ打ち止めの議論が今よりも盛んになり、利上げ後の景気減速を意識した相場展開がより鮮明化すると考えます。先進国で米ドルのみが「高金利通貨」化している中で、ドルが選好される傾向が、中長期的に大きく変わることは想定していません。ただし、足元の110円台前半から110円前後へ、若干ドルが押される展開になると見込んでいます。
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