トルコの金融政策~果敢な利上げの効果は?
2018/10/26
<投資信託>
- 政策金利は24%で据え置きでした。対米関係の好転による為替相場の安定が影響したと見られます。
- PMIが9年半ぶりの低水準、失業率上昇など、景気全般の悪化も据え置きにつながったと見られます。
- 景況感悪化で対外収支が急速に改善、インフレ圧力が緩和されれば、利下げ余地も出てくると考えます。
利上げ余地温存
トルコ中央銀行(以下、中銀)は、25日の金融政策委員会で、政策金利(1週間物レポ金利)を24%に据え置きました。9月のCPIが前年同月比+24.5%と、さらに大幅に加速し、追加利上げは不可避との見方も一時出ましたが、為替相場が落ち着きを見せたことが幸いし、利上げ余地をひとまず温存した形です。その背景には対米関係の好転が挙げられます。米国人牧師の軟禁解除を認める判決が下され、米国が制裁解除を示唆したことが、通貨リラの反発に大きく寄与しました。
また、経済実態が大幅に悪化したことも影響したと見られます。9月の製造業PMIは42.7と、リーマンショック直後で30台に低下して(08年11月~09年3月)以来の低水準となりました。また、7月の失業率が11.0%と1年ぶりの高水準でした。加えて、景気悪化による輸入減少で急速に好転、8月の経常収支は約3年ぶりの黒字でした。高金利で内需が冷やされた面もあると見られます。
リラの落ち着き度合いを見極める段階
9月に、中銀が大幅利上げを断行したことで、今後、リラの追い風になることが期待されます。利上げによって、対外収支悪化を招いていた超過需要が調整されれば、インフレ圧力が低下し、利下げ余地が発生することも考えられます。この場合、利下げはリラにとって追い風と考えます。
ただし、大統領と中銀との緊張関係や、対米関係もまだ予断を許さないなど、現在は、リラの落ち着き度合いを見極める段階と考えられます。年内は追加利上げも辞さない構えで、高金利を維持すると見込まれます。
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