アムンディ・ヨーロッパ通信~イタリア財政問題をどうとらえたらいいか

2018/10/05 <>

EUの健全財政ルールに反旗

予算案のEU(欧州連合)提出期限を10月15日に控え、2019年予算をめぐるイタリアとEUとの対立が懸念されています。EU加盟国は、安定成長協定(財政赤字の対GDP比3%以内、政府債務残高の同60%以内)を順守し、超過している時は、EDP※(過剰財政赤字手続き)に基づき、緊縮財政を求められます。今回、問題となっているのは、イタリアのコンテ政権が、自らの政権公約(所得税率フラット化、付加価値税増税見送り、ベーシックインカム導入)を満たすため、EDPに従わず、財政再建を3年間行わないと主張していることです。

行き過ぎた悲観の必要なし?

財政再建については、同じく苦しい財政事情を抱えるフランス、スペインも同様で、スペインではEDPに沿った2019年予算案が、7月に議会で否決されてしまいました。ただし、ユーロ圏全般の景気拡大が続く中、EU諸国の財政赤字はどこも縮小傾向で、2018年3月末時点で加盟28ヵ国中27ヵ国の財政赤字対GDP比が3%以内、政府債務の同比率は、高い国でも横ばいです。全体的に健全な中での問題なので、財政破たんなどの悲観論は行き過ぎです。双方がある程度折り合うところで妥結できれば、リスクは大きく後退すると考えます。

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