10月の豪金融政策について~政策金利と豪ドル相場の展望
- 政策金利は1.5%で据え置きです。景気拡大は順調も低インフレ続き、低金利を当面維持する姿勢です。
- 現在のRBAの経済・インフレ見通しに照らすと、利上げの開始時期は19年後半が想定されます。
- 景気が順調ならば、年末に向けて利上げの議論が台頭し、豪ドルには追い風が吹くと見ています。
低金利維持も賃金の伸び上昇の兆し
本日、オーストラリア〔豪〕準備銀行(以下、RBA)が定例理事会を開き、政策金利であるキャッシュレートを1.5%に据え置きました。16年8月の利下げ以来、過去最低水準での据え置きが続きます。
豪経済は、依然として順調に景気拡大を続けていると見られます。8月の失業率は5.3%と前月比横ばいながら、正規を中心に雇用が増加し、今後の個人消費の底堅さを示唆しています。企業活動では、9月の製造業PMI(購買担当者景気指数)が59.0と、今年では3月の63.1に次ぐ高水準となり、夏場にかけての減速基調から持ち直しつつあります。PMIを構成する個別指標では新規受注と雇用の上昇が目立ちました。
なお、PMIの構成項目でありませんが、調査項目一つとして平均賃金があり、過去10年間で最高の69.3でした。賃金の先行き増加が示唆されます。足元のインフレ率はRBAが目標とする+2~3%の下限付近で推移していますが、賃金の伸びが上昇してくれば、インフレ率を押し上げると期待され、長く続く低金利政策に変化が出てくると考えます。RBAは、インフレ率は19年にも目標圏内で安定すると予想しており、利上げ開始は19年後半が、現時点では想定されます。
米国金融政策との位置関係に注目
豪ドル相場は、米国での利上げ継続や工業用商品市況不振の影響から、対米ドルで弱含みが続いています。ただし、対円では米ドル高・円安の動きを受けて上昇しています。
利上げの議論が台頭しつつある豪金融政策と、利上げ打ち止めの議論が台頭しつつある米金融政策とがあいまって、今後は対米金利差拡大に歯止めが掛かる期待が高まると予想されます。実際の利上げは1年程度先としても、金融政策の位置関係の変化を材料として、豪ドルは対米ドルで反発余地が出てくると考えられます。
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