インドネシアの金融政策~今後の政策スタンスと市場の行方
- 政策金利は0.25%引き上げの5.75%でした。米利上げ追随で対外収支改善と通貨安定を目指します。
- 国内経済は引き続き内需主導で堅調に推移しているのに加え、インフレ率は低位にとどまり健全です。
- 通貨、株価共に落ち着きを取り戻しつつあります。米景気の好調さから、株価は底打ちが近いと考えます。
対外収支改善通じ、インフレ安定の維持目指す
26-27日、インドネシア銀行(BI、以下、中銀)が定例理事会を開き、政策金利のBIレートを0.25%引き上げ、5.75%としました。史上最低の4.25%から利上げは5回目で、利上げ幅は累計1.5%となりました。今回の利上げは、26日にFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%利上げされたため、それに追随し、米ドル資産への投資資金流出による通貨ルピアへの売り圧力抑制を目指したと見られます。
また、中銀は、4-6月期の経常赤字が対名目GDP比3.0%と、約4年ぶりに大きな赤字幅となったことを重視しています。ルピア下落とあいまってインフレ圧力が高まることを警戒し、19年には2.5%に改善させ、インフレ安定を維持することを目指します。なお、中銀は、これまでの利上げを通じ、年内はインフレ率が目標圏内で推移すると見込んでおり、さらなる安定持続を目指して政府との連携を強めていくとしています。今後も米国での利上げに追随する可能性があると考えます。
企業業績見通し変わらず、割安感強まる株価
国内経済は、低インフレと前年比5%程度の順調な景気拡大が続いています。最近は、新興国経済に対する不安がやや後退してきたことを受け、通貨、株価共に落ち着きを取り戻しつつあります。
ルピア相場は8月末から対ドルで-0.7%、対円で同+1.4%(いずれも9月27日現在)と小動きとなっています。また、代表的株価指数のJCI(ジャカルタ総合指数)は同じく-1.5%で、6000ポイント前後でもみ合っています。ルピア相場は米金利上昇という逆風が底流にあるため、当面はもみ合う展開になると見込まれます。一方、株価は、市場が動揺した中でも業績見通しがほとんど変わっておらず、割安感が強まっています。新興国経済に対する不安感は、ひと頃よりも和らいでおり、米国の景気も当面は好調を維持すると見込まれることから、底打ちが近付いていると考えます。
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