ブラジルの金融政策~今後の金融政策と為替相場の展望
- 政策金利は6.5%に据え置かれました。10月の大統領・総選挙を控え、積極的な動きを控えた形です。
- 構造改革は選挙後も進まず、緩慢な景気回復の下で緩和的な政策スタンスが当面続くと見込まれます。
- 米金利上昇、米中貿易摩擦激化、政治的な不安が引き続き通貨レアルの上昇を抑えると考えます。
低インフレよりも政局を警戒?
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、9月18-19日のCopom※において、政策金利のSELIC◇金利を6.5%で据え置きました(全会一致)。3月の利上げ以来、据え置きは4会合連続となりました。
依然として低インフレが続いています。5月のトラック業界の大規模ストで物流が停滞した影響で、CPIが6、7月に加速したものの、8月はやや減速し、コア(食品・エネルギー除く)となると、その間もインフレ目標の下限(+3%)を下回っています。インフレ率の動きから、政策金利を変更する理由は見当たりません。さらに10月7日に実施される大統領・総選挙(大統領選挙は28日に決選投票の可能性大)を控え、敢えて政策を変更しないという側面も今回は強かったと思われます。ただし、財政再建等の構造改革は、少なくとも年内は滞ると見込まれ、中銀が年初に予想していたよりも緩慢な景気回復も手伝って、当面は緩和的な政策スタンスが続けられると考えます。
選挙後には反発余地も
レアル相場は、米金利上昇が底流にあるのに加え、米中貿易摩擦が激化し、新興国経済への影響が懸念されることから弱含みの推移が続いています。さらに、トルコリラ急落のあおりを受けたこと、選挙前で積極的なレアル買いが手控えられていると見られることが、前回会合(7月31日-8月1日)以降の相場の動きに反映されていると思われます。
米国の利上げは、一部に打ち止めの議論も出ているものの、少なくとも今後1年程度は続けられる公算が大きく、対米金利差縮小がレアルには逆風と考えます。一方、世界経済全般が依然として好調なことから、一時強まった新興国経済に対する先行き不安はやや和らいでいます。こうした中、選挙後は当面の政治不安が後退するため、メキシコペソが選挙後に反発したように、レアルにもある程度の反発余地が出てくるのではないかと考えます。
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