9月の豪金融政策について~今後の政策スタンスと豪ドルの展望

2018/09/04 <>
  1. 政策金利は1.5%で据え置きです。順調な景気も低インフレで、低金利維持し、インフレ目標を目指します。
  2. RBAの経済・インフレ見通しに照らすと、利上げ再開の時期は早くて19年半ばが想定されます。
  3. 頭の重い商品市況が逆風ですが、金融政策変更期待から年末に向けて底堅さを増すと見込まれます

粘り強く低金利維持

本日、オーストラリア〔豪〕準備銀行(以下、RBA)は定例理事会を開き、政策金利であるキャッシュレートを1.5%に据え置きました。16年8月の利下げ以来、過去最低水準は3年目に入りました。

7月の失業率が5.3%と、12年11月以来約5年半ぶりの低水準となり、雇用環境が良好です。雇用者数は、正規雇用者の増加が多く、今後の所得環境の改善が期待されます。堅調な個人消費を背景に、年後半も内需主導の順調な景気拡大が予想されます。一方、インフレ率は目標(+2~3%)の下限付近を推移しており、RBAは目標圏内での安定的な推移に至るまで、低金利を維持させることが妥当と判断しています。RBAの見通しでは、それを19年半ば以降としていることから、利上げ再開は早くて19年半ばが想定されます。

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利上げ再開期待は年末頃にも台頭か

豪ドル相場は、米金利上昇、新興国通貨下落の流れの中で、頭の重い展開です。豪州は資源国であると同時に、OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国でもあり、新興国通貨に比べると底堅く推移しています。しかし、米国通商政策からくる米中貿易摩擦の激化を受け、金属資源を中心に工業用商品市況が弱含んでいることから、このところ弱さが目立ちます。

低金利を粘り強く維持していることも、豪ドルにとってはマイナスです。米豪の長短金利差は0.3~0.4%で徐々に拡大しており、豪ドルの対米ドル相場が弱含む原因となっています。一方、内需主導で景気拡大は順調であり、RBAは18年後半から19年にかけて+3%程度の実質GDP成長率を予想しています。上記の物価見通しと照らすと、年末頃には利上げ再開の時期がより具体性を持って市場で取りざたされるようになっていると見込まれ、豪ドルは底堅さを増してくると考えます。

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