7月の米国景況感指標について~7-9月期の出だしは?
- PMI、NMIは共に3ヵ月ぶりの低下も、活動水準は依然高く、ほとんどの業種の業況が改善しています。
- 米国景気の7-9月期の出だしは順調な景気拡大を示すも、4-6月期に対して減速が示唆されます。
- 成長ペースは年率+2~3%へ収れんしていくと見られますが、景気好調には変わりないと考えます。
非常に好調な状況からの反動も
ISM(全米供給管理協会)は1日に7月の製造業PMIを、3日に非製造業NMIを発表しました。PMIは前月比-2.1の58.1、NMIは同-3.4の55.7で、比較的大幅な低下でした。NMIは年初来最低です。4-6月期の実質GDP成長率(速報)が前期比年率+4.1%と高水準になったのに対し、7-9月期は減速する可能性を示唆する出だしになったと見られます。
個別指数を見ると、PMIは納品指数が前月比-6.1で前月(同+6.2)から急低下、物流の滞りが短期間で改善したと推察されます。また、生産指数が同-3.8、新規受注指数が同-3.3と、活動一服を示唆しています。NMIも、事業活動指数(PMIの生産指数に相当)が同-7.4、新規受注指数が同-6.2と、PMIと同様です。ただし、生産(事業活動)指数、新規受注指数共に50台後半以上で、景況感好調は変わっていません。その証拠に主要36業種中、33業種が業況改善を示しています。
貿易摩擦懸念も、影響は依然小さい
アトランタ連銀発表のGDP Now(各経済指標から経済成長率(前期比年率)を推計)によると、NMIまで織り込んだ段階(8月3日時点)で、7-9月期の実質GDP成長率(推計)は前期比年率+4.4%です。ただしこれは、4-6月期のまでの好調な景気の流れを残しているためであり、今後は徐々に年率+2~3%の「巡航速度」収れんしていくと見込まれます。米国の潜在成長率は+2%と見られているので、景気が好調なことには変わりがないと考えます。
今後の米国景気に対する不透明要因は貿易摩擦の影響です。トランプ米大統領が、対中輸入のうち2000億ドル分に追加関税を課す提案していることが明らかになり、懸念は以前より強くなっていると見られます。それでも、輸入額(通関ベース、17年)の8.5%、名目GDP(17年)の1.0%にとどまり、影響は依然小さいと考えられます。
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