英国の金融政策~今後の政策スタンスと為替相場の展望

2018/08/03 <>
  1. 政策金利は0.25%引き上げられ、0.75%とされました。1711月以来2度目の利上げです。
  2. インフレ率、経済成長に対してよりポジティブながら、利上げについては若干慎重な想定をしています。
  3. 英ポンド相場は景気、金利水準との兼ね合いでもあり、過度な下落リスクは小さいと考えます

ややハト派?

イングランド銀行(英中央銀行、以下、BOE)は1-2日、金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利を0.25%引き上げ0.75%としました。17年11月以来、利上げは2度目となります。BOEとしては、インフレ率が目標(+2%)以上ならば、景気に対して中立な水準へ政策金利を誘導することが適当と、かねてより主張していたため、利上げは「予定通り」と言えます。

BOEは同日、四半期インフレレポートを発表しました。今後の経済見通しをまとめたレポートです。CPI(前年比)、実質GDP(前年比)、政策金利の見通しを見ると、CPIと実質GDPについては、前回レポート(5月発表)から若干上方修正し、景気に対してやや強気でした。一方、政策金利については若干下方修正され、ややハト派(性急な金融引き締めに慎重)的な見通しと見られます。引き続き年1回、0.25%の利上げを想定していますが、タイミングについては前回レポートより一歩遅れのイメージです。

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金利上昇は中長期的な下支え要因

ポンド相場は、利上げはすでに市場に織り込まれていたのに加え、先行きの見通しがややハト派的と捉えられたことから下落しました。2週間ぶりに1ポンド1.3ドルを割り込む寸前まで、ポンド安・ドル高が進行しました。

ただし、経済実態に沿った適正な金利水準を目指す金融政策スタンスは、基本的に市場には好感されていると見られます。ポンド安も、行き過ぎれば輸出増加が促され、英国の景気にはプラスに働きやすくなることから、おのずと下値は限られてくると思われます。

EU(欧州連合)離脱後の景気に対する不安は依然として払拭されていないため、金利上昇だけでポンドが持続的に上昇する環境とは言いにくいのが現実ですが、先進国では米国に続いて金融政策の正常化が進展していることは、中長期的にはポンドの下支え要因になるのではないかと考えます。

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