ブラジルの金融政策~今後の金融政策と為替相場の展望
- 政策金利は6.5%と据え置かれました。インフレ率上昇は一時的とし、景気重視の姿勢が見られました。
- トラック業界のストの影響もあり、4-6月は景気が足踏みした可能性が高まったと見られます。
- 通貨レアルは、新興国経済に対する警戒的な見方がやや和らぎ、持ち直す方向にあると見られます。
実態は低インフレ継続
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、7月31日-8月1日にCopom※を開き、政策金利のSELIC◇金利を6.5%で据え置きました(全会一致)。3月の利上げ以来、据え置きは3会合連続となりました。
6月のCPIは前年同月比+4.39%と5月の同+2.86%から大幅に上昇しました。エネルギーが、住居向けは同+18.18%、運輸向けは同+28.60%と急上昇し、全体を押し上げました。それでもインフレ目標付近にとどまっています。中銀はトラック業界のストによる一時的な影響としており、利上げには動きませんでした。実際、CPIコア(推定)は同+2.44%と鈍化しており、低インフレ傾向は変わっていないと見られます。
ストの影響で、4-6月期は景気が足踏みした可能性が高まったことも考慮したと見られます。5月の鉱工業生産が前月比-10.9%、小売売上高(自動車、建材含む)が同-4.9%と共に急減しました。もっとも、7月の自動車販売台数は前年同月比+17.7%と、回復の兆しも出てきています。中銀は当面現行水準で様子見姿勢を続け、利上げは19年入り後を想定しています。
新興国経済への警戒はやや後退
レアル相場は、米金利上昇、貿易摩擦への不安感から下落傾向が続き、一時1ドル4レアルに近づきましたが、足元はやや持ち直しています。対円では一時27円台まで下落する局面もありましたが、現在は29円台後半まで上昇しています。
米国の利上げはまだ続く見通しであり、新興国の高金利の魅力が相対的に薄れ、新興国通貨全般には厳しい環境が続いていることは否めないところです。ただし、世界経済全般が好調なことから、新興国経済に対して、一時強まった警戒感はやや和らいでいます。国によって動きにバラつきはあるものの、年初からの下落が大きかったという、相対的な割安感も働き、当面は持ち直す方向と見ています。
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