ユーロ圏の7月物価・6月雇用情勢

2018/08/01
  1. 7HICPは前年同月比+2.1%、コアは同+1.1%でした。原油高の影響が続き、実態は低位安定です。
  2. 6月失業率は8.3%と0812月以来の低水準です。ドイツが最低更新ながら、失業者数は微増でした。
  3. 好調な雇用環境からインフレ率は徐々に上昇する見通しで、金融政策は慎重ながら正常化の方向です

原油高の影響続く。5ヵ月ぶり失業者微増

7月31日、Eurostat(EU統計局)が発表した7月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+2.1%、コアは同+1.1%でした。それぞれ前月比+0.1ポイント、+0.2ポイントです。エネルギーが同+9.4%と高く、総合を押し上げました。一方、コアについては、財(同+0.5%)、サービス(同+1.4%)共に6月を0.1ポイント上回り、小幅ながら広範に底上げされた印象です。ただ、過去の推移を見ると、コアは長らく+1%前後となっており、実態は低位安定が続いています。

また、同日発表された6月の失業率は8.3%と、前月比横ばい(前月は0.1ポイント下方修正)でした。ドイツが3.4%と、東西統一後最低を更新、失業者数も同じく最少です。もっとも、ユーロ圏全体の失業者数は前月比+1.4万人でした。雇用環境の改善は足元やや鈍ったものの、イタリアの、前月の大幅減少の反動増が影響したとみられ、減少傾向は変わっていません。

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当面はもみ合い、中長期的には強気維持

雇用環境は今後も持続的に改善していく公算が大きく、インフレ率が徐々に底上げされていくという見方は変わりません。金融政策は、ECB(欧州中央銀行)が正常化に対して引き続き慎重ながら、19年半ば以降は、利上げを含めた正常化の方向がより現実的になると考えています。

ユーロ相場は、今年前半のユーロ圏経済の減速傾向や米欧金利差拡大で対ドル、対円で下落傾向でしたが、正常化の気運が高まれば見直されると考えており、当面はもみ合いも中長期的には持ち直し、年末前後には1ユーロ1.2ドル台を取り戻すと予想しています。

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