インドネシアの金融政策~市場混乱が収束する条件は?
- 中銀は定例理事会で、政策金利を0.5%引き上げ5.25%としました。1ヵ月半で1%利上げしました。
- 中銀は、インフレの安定に向けて早めの行動を打ち、為替・債券市場への介入を続けるとしています。
- 通貨安定への中銀の強い意志を受け、通貨ルピアと株価は反発しましたが、先行きは依然不透明です。
早めの行動を果敢に判断
インドネシア銀行(BI、以下、中銀)は29日、定例理事会を開き、政策金利であるBIレート(7日物レポ金利)を0.5%引き上げ、5.25%としました。17日の定例理事会以来、利上げは3回、計1%となりました。
中銀は、今回の利上げについて、米国の利上げ加速の見通しから、ドル高・ルピア安が進行しており、早めに対応を打って通貨価値を安定させることで、インフレの安定を目指すとしています。5月31日臨時理事会で発表された声明文に盛り込また、”pre-emptive”、”front-loading”、”ahead-of-the-curve”という文言を維持し、市場の動きに対して、引き続き早めの行動を果敢に判断していく意思を示しています。CPIは依然としてインフレ目標(+3.5±1%)の範囲を推移しており、安定しています。ただし、ルピア安が長引くと、輸入コストの上昇を通じてインフレ率が押し上げられるリスクがあります。
ルピア安定へ政策総動員続くが…
中銀の政策意図が好感され、29日の市場ではルピア、株価共に反発しました。利上げ幅が市場予想(0.25%利上げが大勢)を上回ったことから、金融当局への信認から、見直し買いが入ったものと見られます。
中銀は引き続き、政策総動員でルピアの安定を図っていくと見込まれます。ただし、それだけでは力不足の面は否めず、やはり、米国側で、利上げ加速に足る経済への信頼感の高まりが必要になると思われます。米国経済は、積極財政政策による好調が予想される一方で、保護主義的な通商政策が与える影響が不透明であり、先行きに対する不安材料になっていると見られます。こうした、政治的な不透明感が和らぐことが、新興国の経済、通貨への不安解消のカギになると考えます。
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