ブラジルの金融政策~中銀のインフレ見通しとレアル相場展望
- 政策金利は6.5%で据え置きでした。足元の通貨レアル下落を反映し、インフレ見通しが変わりました。
- 今後の政策判断は経済情勢によるとしていますが、インフレ期待が上がってきていることに要注意です。
- 経済実態は改善していますが、依然不安要素が多く、神経質な展開を余儀なくされると考えています。
レアル安を意識も据え置き
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、19-20日Copom※を開き、政策金利のSELIC◇金利を6.5%で据え置きました(全会一致)。据え置きは2会合連続です。
5月のCPIは前年同月比+2.86%と4月(+2.76%)を小幅に上回ったものの、インフレ目標(右図中)を下回っています。中銀は、18年のCPI見通しを、前回会合(5月15-16日)の前年比+3.6%から同+4.2%へ上方修正し、最近のレアル安を考慮したと見られますが、それでもインフレ目標の範囲内であり、年内の利上げは想定されていません。ただし、レアル安がさらに進行し、インフレ期待が上昇すれば、利上げが意識される場合もあると考えます。
経済実態に照らすと下げ過ぎ感も…
18年2月以降のレアル安は、当初は米国の引き締め強化懸念から始まっています。米国の利上げは、その後もレアル安の要因ですが、それに加え、ベネズエラ、アルゼンチンといった一部の中南米諸国の苦境、NAFTA(北米自由防衛協定)再交渉後にメキシコが受ける動揺への不安と、中南米経済全体への影響に対する懸念、10月に控える総選挙に向けた政局不安など、不安要素の多さも相場形成に影響していると見ています。
今後のブラジル経済については、年+2%前後の緩やかな経済成長を予想しています。足元でも、景況感、生産、個人消費など主要経済指標が改善しているほか、懸案となっている財政事情も改善しています。経済の実態に照らすと、レアルはやや下げ過ぎの感もあります。しかし、上記の不安要素は早期に解消できるものでもなく、当面は神経質な展開を余儀なくされると考えています。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
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