トルコ中銀、さらに利上げ~市場の評価と当面のリラ相場の展望

2018/06/08 <>
  1. トルコ中央銀行は7日、政策金利を1.25%引き上げ、17.75%としました。インフレ抑制に本腰です。
  2. 実質政策金利はほぼ適正水準と見られますが、通貨リラ下落によるインフレ圧力は残ると見られます。
  3. 通貨リラは反発しましたが、大統領の金融緩和圧力への警戒から、まだ神経質な展開が予想されます

実質政策金利が急上昇

トルコ中央銀行(以下、中銀)は7日の金融政策委員会で、政策金利(1週間レポ金利)を1.25%引き上げ、17.75%としました。政策金利±1.5%で、翌日物貸出金利が19.25%、同借入金利が16.25%、LLW金利は政策金利+3%で20.75%です。

CPIが4月に前年同月比+12.15%と加速し、これまでのリラ下落の影響が出始めたと見られ、中銀はインフレ抑制に本腰を入れ始めました。今回の利上げで、トルコの実質政策金利(政策金利-インフレ率〔CPI〕)は5.6%となりました。この水準は、トルコの潜在的な経済成長率といわれる5~6%とほぼ同じで、適正水準に達したと考えられます。ただし、リラ下落によるインフレ圧力は、まだ当面は残ると見られます。中銀はインフレ環境に明らかな改善が見られるまであらゆる手段を講じるとしており、さらに引き締めを強める可能性も否定できません。

※Late Liquidity Window Interest Rate(後期流動性窓口貸出金利):金融機関向け緊急貸出への適用金利

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総選挙後の金融政策への介入を警戒

リラ相場は、中銀の発表が高く評価され反発しましたが、大幅ではありません。6月24日に控える総選挙で優位に立つエルドアン大統領が、選挙後に利下げ圧力を掛けるとの警戒が根強いためです。また、市場の動揺を受け、製造業PMIが4月以降、景気の良し悪しの境目の50を大きく下回るなど、景気の先行き不安も強まっています。トルコ自体が抱えるカントリーリスクに対する市場の懸念の払しょくが、リラの本格回復の条件と見られますが、まだ時間を要すると考えます。

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