インドの金融政策~今後の政策スタンスと市場の展望
- 政策金利は0.25%引き上げられ、6.25%となりました。家計のインフレ期待上昇などが考慮されました。
- インフレ目標の達成を優先する政策スタンスは評価でき、通貨ルピーにはプラスに働くと考えます。
- 慎重な金融政策と高成長期待がインドの投資妙味を引き立て、株価は底堅く推移すると見込まれます。
生活や企業活動のコストが上昇
インド準備銀行(以下、RBI)は5-6日に金融政策委員会(MPC)を開き、政策金利のレポレートを0.25%引き上げ、6.25%とすると発表しました。政策金利の変更は10ヵ月ぶり、利上げとなると14年1月以来のことです。前回のMPC(4月4-5日)では低インフレ継続で、当面は様子見との見方が大勢でした。
2ヵ月間で状況が変わったのは、物価環境の変化が背景にあります。CPI(総合)は、4月で前年同月比+4.58%と落ち着いていますが、コア(弊社試算)は同+6.02%と、インフレ目標の上限に達しました。食品価格の鈍化がコアには算入されないのと同時に、住宅価格や運輸コストの上昇が反映されました。また、RBIが5月に実施した調査によると、家計のインフレ期待が上昇したことから、インフレ目標の確実な達成を優先する形で、利上げが決定されたと見られます。なお、RBIは、18年度後半(18年10月~19年3のCPIの予想を、前回のMPCから0.3ポイント引き上げ、前年同期比+4.7%としています。
底堅い展開へ
ルピー相場は、米金利上昇によるドル高を受けて下落してきましたが、5月下旬に底打ちしました。また、高成長を取り戻したこともあり、ここまで堅調に推移しています。
株価は、多くの新興国株が下落する中で底堅く推移しています。モディ政権による改革の効果で、今後数年高成長が期待されることは、業績面で株価にプラスです。これに加え、インフレの安定を優先する金融政策が採られたことは、通貨価値の安定に資すると期待され、インドの投資妙味を引き立てると考えます。インド株式は、新興国の中ではやや割高ですが、利益成長も高水準を維持すると予想されており、中期的には堅調に推移すると考えます。
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