5月の米国雇用統計について~金融政策、為替相場への影響は?

2018/06/04 <>
  1. 5NFPは前月比+22.3万人、3カ月ぶりに増加幅が20万人を超え、雇用は順調に増加しています。
  2. 失業率が3.8%と約18年ぶりの低水準です。強含みの賃金がインフレ率を徐々に押し上げています。
  3. 利上げ回数増加は、現在と先行きの景気の評価の違いをもたらし、ドルにとって高安双方の材料です

良好な雇用環境にさらなる市場参入も

1日、米労働省が5月の雇用統計を発表し、非農業部門雇用者数(以下、NFP)は前月比+22.3万人でした。3ヵ月ぶりに増加幅が20万人の大台を回復し、ならした増加ペースも20万人程度と、雇用は順調に増加し続けています。

また、失業率は前月比-0.1ポイントの3.8%と約18年ぶりの低水準となりました。失業者数が前月比-28.1万人の606.5万人と、一段と減少しています。一方、生産年齢人口(16歳以上人口)増加に伴い、非労働力人口(うち、働く意志のない人)および、その中に含まれる潜在的な求職者も増加しています。彼らが求職活動を開始すれば、失業者数が増加する局面も考えられるため、失業率が現状水準でしばらく横ばいになる可能性があります。

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金利上昇期待の二面性

民間企業時間当たり賃金(以下、賃金)は前年同月比+2.7%でした。加速はしていませんが、長期間にわたって+2.5%前後の推移が続いていることで、インフレ率を徐々に押し上げています。足元のインフレ率は、原油価格上昇の特殊要因はあるものの、ほぼ目標に達している状況です。

12-13日に控えるFOMC(米連邦公開市場委員会)では、堅調な景気動向を背景に利上げされるとの見方が大勢となっています。FF金利先物市場から見られる市場コンセンサスは、引き続き年内2回の利上げ(6月と9月に0.25%)となっていますが、12月も利上げされるとの見方が30%を超えてきています。利上げ回数の増加は、好調な景気が背景との評価から、足元ではドルは底堅く推移しています。一方、利上げが中期的に景気を冷やす影響も意識されるため、局面によって上下しやすいと考えます。

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