ユーロ圏18年1-3月期GDP速報~今後の景気、市場の展望
- 実質GDPは前期比年率+1.7%でした。内・外需共にプラス寄与が縮小、在庫増加が推察されます。
- 予想以上に好調であった17年に対する反動も含め、景気は踊り場を形成していると見られます。
- 金融政策が前のめりにならない限り、+2%台の好調な景気拡大ペースは維持されると考えます。
年明け後に一転
2日、Eurostat(EU統計局)が発表したユーロ圏の18年1-3月期実質GDP(速報)は前期比年率+1.7%でした。5期連続の+2%台後半の成長ペースと、予想以上の好調さが続いた反動が出たと考えます。
需要項目別の実質GDP成長率に対する寄与度は未発表ですが、1-3月期は小売売上高が前期比-0.2%、資本財受注が同-2.7%(ドイツ製造業受注、資本財国内向け)など、国内最終需要が伸び悩んだと見られます。また、貿易黒字が前期比ほぼ横ばいで、内・外需双方のプラス寄与が縮小し、在庫が積み上がったと推察されます。ただし、1-3月期の減速は、冒頭にも述べたように、反動の側面が大きいと見られ、景気は踊り場を形成し、早晩+2%台の成長ペースを取り戻すと予想しています。
金融政策スタンスがカギ
こうした経済情勢に対し、ECB(欧州中央銀行)は、APP(資産購入プログラム)の規模を縮小させ、金融政策正常化に向けて動いています。現在の購入ペース(月300億ユーロ純増、9月まで)から、10月以降年内はさらに縮小(100~200億ユーロ)させて継続すると見込んでいます。政策金利引き上げは、早くても19年半ば以降を予想しています。
景気減速は一時的と見ており、雇用環境の改善と共にインフレ率も再び徐々に上昇、年内には前年同月比+1.5%を超えてくると予想しています。この間、金融政策が前のめり(引き締め強化)に動くと、その先の景気減速への思惑が強まり、インフレ率、金利の上昇期待を弱め、ユーロ相場の逆風となる可能性が否めません。金融政策正常化の流れは変わらないものの、ECBが景気実態に沿ったスタンスを堅持できるかが、今後の景気、市場動向に影響すると考えます。
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