メキシコの金融政策~今後の物価見通しとペソの展望
2018/04/16
<投資信託>
- 政策金利は7.5%で据え置きでした。インフレ率鈍化で追加利上げの可能性は低くなったと見ています。
- NAFTA再交渉、7月総選挙などの政治リスクが残る中、金融政策は当面様子見と想定しています。
- 景気回復とインフレ安定、対米通商リスクの相対的低下から、ペソは下落リスクが縮小したと見ています。
年内にも目標圏内へ
メキシコ銀行(以下、中銀)は、12日の金融政策会合で、政策金利である翌日物金利を7.5%で据え置きました。政策スタンスは、前回会合(2月8日)での声明文で盛り込まれていたインフレ警戒の文言がなくなり、中立スタンスとなりました。追加利上げの可能性はほぼなくなったと見ています。
インフレ率の低下が続いています。3月CPIは、総合が前年同月比+5.04%、コア(農産物・エネルギー・政府管理品目を除く)は同+4.02%と、今年に入って急速に低下しています。中銀の四半期レポート(2月28日発表)によると、CPIは上昇鈍化が続き、総合は年内にインフレ目標(+3±1%)の上限を割り込むと予想されています。中銀は、インフレ率を目標圏内に誘導するのに、現行の金利水準は適当と評価しています。本来なら「次の手」は利下げということになりますが、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉や7月に控える大統領・議会選挙といった政治リスクを考慮し、当面は様子見を続けると想定しています。
景気回復+インフレ安定はプラス要因
ペソ相場は、NAFTA再交渉の難航や米利上げの影響で、17年末頃までは対ドルで下落傾向となっていましたが、ここにきて強含みで推移しており、対円でもドル・円相場が落ち着くにつれ持ち直してきています。
上記に挙げた政治リスクは、深刻な追加のリスクが発生しない限り、市場ではほぼ織り込まれていると見られます。景気回復はごく緩やかですが、内需主導の底堅さを見せるなかで、景気回復+インフレ安定という、追い風が吹きやすい環境になっていると考えられます。主要新興国の中では相対的に堅調であったため、一時的に反動で売られる局面もあり得ますが、中期的には底堅い展開になると見ています。
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