3月の米国雇用統計について~金融政策への影響は?

2018/04/09 <>
  1. 3NFPは前月比+10.3万人、強かった2月の反動で減速です。失業率は6ヵ月連続の4.1%でした。
  2. 若年層失業率が大幅低下、潜在的求職者数の減少など、さらに完全雇用に近づいていると見られます。
  3. インフレ率は底堅さを増していると見られ、緩やかな利上げの金融政策方針は変わらないと思われます

ならせば順調な雇用増加

6日、米労働省が3月の雇用統計を発表し、非農業部門雇用者数(以下、NFP)は前月比+10.3万人、失業率は4.1%と6ヵ月連続の同水準でした。NFPは2月の同+31.3万人から大きく減速しましたが、強かった2月からの反動と見られます。2月に大きく増加した建設業、小売業、人材派遣業などが、3月は減少に転じたことが要因です。

ただし、傾向を見る上で3ヵ月移動平均にすると、月当たり+20.2万人でした。前月比プラスは90ヵ月連続(10年10月~)ですが、その間の平均は+19.9万人です。6ヵ月連続で失業率は同じでも、NFPを見る限り、雇用は過去の平均並みで順調に増加していることがうかがえます。なお、若年層(25歳未満)失業率が8.5%で、69年12月以来約半世紀ぶりの低水準、潜在的求職者数が509.6万人で9年半ぶりの低水準など、完全雇用へさらに近づいた感があります。

201804091

金融政策の正常化は着々と

民間企業時間当たり賃金(以下、賃金)は前年同月比+2.7%でした。今回の景気拡大局面で、賃金の伸び率が初めて+2.5%以上となって(15年10月)以来2年半が経過しました。この間、完全雇用へと次第に近づくにつれ、インフレ率は徐々に水準が切り上がり、PCE価格指数は2月で前年同月比+1.8%となっています。

依然として、金融当局のインフレ目標(+2%)を下回る緩やかな上昇率ですが、雇用環境を見るにつけ、底堅さも増してきていると思われます。今後、好調な景気を背景にインフレ率が継続的に+2%を上回ってくるかどうかはまだ不透明ですが、大きく鈍化するリスクも後退している中、緩やかに利上げを継続していく、現行の金融政策方針は変わらないと考えられます。

201804092

アムンディ・マーケットレポートはこちら

http://www.amundi.co.jp/report/list.html

アムンディ・ジャパン株式会社
グローバル経済、金融政策、マーケットなどの動向、展望を、投資家の皆様に向けてタイムリーに分かりやすく解説します。本体であるアムンディ・パリからの経済、市場等の見通しも随時ご紹介します。
当資料は、アムンディ・ジャパン株式会社(以下、弊社)が投資家の皆さまに情報提供を行う目的で作成したものであり、投資勧誘を目的に作成されたものではありません。当資料は法令に基づく開示資料ではありません。当資料の作成にあたり、弊社は情報の正確性等について細心の注意を払っておりますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。当資料に記載した弊社の見通し、予測、予想意見等(以下、見通し等)は、当資料作成日現在のものであり、今後予告なしに変更されることがあります。また当資料に記載した弊社の見通し等は将来の景気や株価等の動きを保証するものではありません。

アムンディ・ジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第350号
加入協会:一般社団法人 投資信託協会/一般社団法人 日本投資顧問業協会/日本証券業協会/一般社団法人 第二種金融商品取引業協会