3月の米国雇用統計について~金融政策への影響は?
- 3月NFPは前月比+10.3万人、強かった2月の反動で減速です。失業率は6ヵ月連続の4.1%でした。
- 若年層失業率が大幅低下、潜在的求職者数の減少など、さらに完全雇用に近づいていると見られます。
- インフレ率は底堅さを増していると見られ、緩やかな利上げの金融政策方針は変わらないと思われます。
ならせば順調な雇用増加
6日、米労働省が3月の雇用統計を発表し、非農業部門雇用者数(以下、NFP※)は前月比+10.3万人、失業率は4.1%と6ヵ月連続の同水準でした。NFPは2月の同+31.3万人から大きく減速しましたが、強かった2月からの反動と見られます。2月に大きく増加した建設業、小売業、人材派遣業などが、3月は減少に転じたことが要因です。
ただし、傾向を見る上で3ヵ月移動平均にすると、月当たり+20.2万人でした。前月比プラスは90ヵ月連続(10年10月~)ですが、その間の平均は+19.9万人です。6ヵ月連続で失業率は同じでも、NFPを見る限り、雇用は過去の平均並みで順調に増加していることがうかがえます。なお、若年層(25歳未満)失業率が8.5%で、69年12月以来約半世紀ぶりの低水準、潜在的求職者数◇が509.6万人で9年半ぶりの低水準など、完全雇用へさらに近づいた感があります。
金融政策の正常化は着々と
民間企業時間当たり賃金(以下、賃金)は前年同月比+2.7%でした。今回の景気拡大局面で、賃金の伸び率が初めて+2.5%以上となって(15年10月)以来2年半が経過しました。この間、完全雇用へと次第に近づくにつれ、インフレ率は徐々に水準が切り上がり、PCE価格指数は2月で前年同月比+1.8%となっています。
依然として、金融当局のインフレ目標(+2%)を下回る緩やかな上昇率ですが、雇用環境を見るにつけ、底堅さも増してきていると思われます。今後、好調な景気を背景にインフレ率が継続的に+2%を上回ってくるかどうかはまだ不透明ですが、大きく鈍化するリスクも後退している中、緩やかに利上げを継続していく、現行の金融政策方針は変わらないと考えられます。
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