英国の金融政策~近付く追加利上げの市場への影響は?
- 政策金利は0.5%で据え置かれました。次回のインフレレポートに判断を待つスタンスと見られます。
- インフレ率が目標を上回って推移していれば、次回会合にも利上げする可能性が高まりました。
- 景気の金融政策正常化に対する耐性に沿った利上げならば、通貨ポンドにはプラスに働きそうです。
需要が引っ張るインフレと評価
イングランド銀行(英中銀、以下、BOE)は、21日にMPC(金融政策委員会)を開き、22日、政策金利0.5%と、APP(資産購入プログラム)の据え置きを発表ました。
英国経済は、ユーロ圏ほど好調ではないものの、+1%台後半の成長ペースが続く中、インフレ率がBOEのインフレ目標(+2%)を上回る状況が続いています。2月のCPIは前年同月比+2.7%と、5ヵ月続いた+3%台から減速したものの、+2%以上は13ヵ月連続となっています。最近1年間はポンドが戻り歩調で、為替面ではインフレ抑制要因になっていたことを考慮すると、足元の物価環境は、需要が引っ張るインフレと中銀は評価していると見られ、次回会合(5/9-10)にも利上げが実施される可能性が高まったと思われます。
利上げと景気とのバランスがカギ
ポンド相場は、Brexit(EU離脱)後の英国経済に対する不透明感が払拭されない中でも、一つひとつ交渉が進展していくにしたがって持ち直す流れが続いています。このため、ドル安・円高が進行する中でも、ポンド・円相場は比較的底堅く推移しています。
英国でも米国同様、金融政策の正常化が進みつつあります。こうした中、今後は、BOEの金融政策スタンスの、英国景気に対する評価に応じて相場が形成されていくと思われます。もっとも、Brexitによってポンド相場は一旦大きく下落したこともあり、割高感はそれほどなく、大幅下落のリスクは限定的と思われます。現在、市場金利から推計した次回会合での0.25%利上げ確率は70%を超えています(Bloombergによる)。今後も、市場コンセンサスに応じたインフレ、景気回復が続くならば、市場が利上げを容認してポンドが下支えられる展開が期待されます。
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