英国の金融政策~追加利上げの可能性とポンド相場の展望
- 政策金利は0.5%で据え置かれました。インフレ率上振れは中期的に目標へ収れんすると見込まれます。
- ポンド・ドル相場が前年比でポンド高に転じ、今後、インフレ率低下に寄与すると思われます。
- EU離脱による対英投資減退が英国経済の足かせになり、ポンド相場にも影を落とすと思われます。
インフレ率はピーク圏
イングランド銀行(英中銀、以下、BOE)は、13-14日にMPC(金融政策委員会)を開きました。政策金利0.5%と、APP※(資産購入プログラム)は据え置かれました。
11月CPI(消費者物価指数)は前年同月比+3.1%と、10月からさらに0.1ポイント加速し、追加利上げに対する思惑も一部見られました。しかし、BOEはBrexit(EU離脱)決定後のポンド安による物価押し上げ効果はほぼ一巡し、中期的にはインフレ目標(+2%)へ落ち着いていくとしています。ポンド・ドル相場の動きを前年同月比で見ると、9月以降はポンド高・ドル安となっており、程なくインフレ率を押し下げる方向に働くことが示唆されます。また、賃金は、中長期的に見ると前年比+2~3%で安定的に推移しており、インフレ率への影響は限定的です。BOEは、18年も利上げを展望していますが、実際に可能性は高くないと思われます。
緊急事態を脱したその後は…
ポンド相場は、Brexitショックで急落しましたが、景気に対しては刺激効果となり、結果としてポンドの持ち直しにつながりました。対ドルではショックで急落した直後の水準(1ポンド1.3ドル台)を取り戻し、対円ではショック直前の水準をうかがう動きとなっています。
EUとの離脱交渉は、その第一歩ともいえる清算金などの交渉が基本合意し、来年から通商関係など新たな段階に入る見込みです。EU離脱後の英国経済については、基本的には対英投資の減退によって、英国経済の成長性がそがれる公算が大きいと思われます。それが、結果的にはポンド相場にも影を落としそうです。ただし、前述のとおり、ポンドが下落すれば英国の景気を刺激することは変わりなく、一方的に下落していく展開は想定しにくいと思われます。
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