11月の米国雇用統計について~金融政策への影響
- 非農業部門雇用者数は前月比+22.8万人でした。ハリケーン被害を乗り越え、環境は良好です。
- 賃金伸び率は前年同月比+2.5%。雇用は着実にひっ迫度合いを強めており、加速が近付いています。
- 18年は緩やかな利上げが続くのに加え、財政政策でインフレが加速すれば追加利上げもあり得ます。
リーマンショック前よりも雇用はひっ迫
8日に米労働省が発表した11月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比+22.8万人でした。ハリケーン被害によって、9月は大幅減速10月は反動増となった後の正常化した後でも雇用は着実に増加、良好な環境が続いていることが示されました。失業率は4.1%で前月比横ばいでした。
リーマンショック前の景気のピーク局面(06~07年)と現在を比べ、雇用環境は、ひっ迫度合いが強いと言えます。失業率は、06年末~07年前半で数回記録した、最低水準の4.4%を下回っています。また、「広義の失業率※」は、10月で7.9%と、当時の最低水準(06年12月、7.9%)に並びました(11月は8.0%)。加えて、求人数は600万人台で推移しています。当時は、最大が07年4月の482.4万人でした。
賃金加速は間近、18年は追加利上げの可能性も
こうした中、賃金はまだ加速していません。民間企業時間当たり平均賃金(以下、単に賃金)は前年同月比+2.5%でした。すでに33カ月連続の+2%台です。賃金が伸びない要因には、やはり成長性の低下があるのではないかと思われます。景気のボトム(09年4-6月期)からの平均実質GDP成長率は年率+2.2%と、景気拡大期の平均成長率としては戦後最低です。
しかし、4-6月期、7-9月期と、2期連続で実質GDP成長率が年率+3%を超え、金融政策もまだ十分に景気刺激的なことから、高めの成長が続き、いよいよ賃金が加速し始め、インフレ率が上昇してもおかしくない状況になってきました。金融当局は、今年並みの緩やかな利上げを目指していますが、税制改革等で景気が加速し、インフレ率が+2%台に乗せてくるようならば、追加利上げの可能性も出てくると思われます。
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