ユーロ圏の10月雇用・11月物価について
- 10月の失業率は8.8%で、8年9カ月ぶりの低水準でした。多くの国で失業者の減少が見られました。
- 11月HICP速報は、総合が前年同月比+1.5%、コアが同+0.9%。依然として低位が続いています。
- 金融政策は現行追認と見込まれますが、足元の好調な景況感を背景にユーロは底堅く推移しそうです。
インフレは依然点火せず
11月30日、Eurostat(EU統計局)が発表した10月の失業率(速報)は8.8%でした。09年1月以来の低水準です。堅調な景気を背景に雇用環境は良好です。フランスを始め、ドイツ、オランダほか、周辺国でも広範に失業者数の減少が見られました。
一方、11月のHICP(速報)は、総合が前年同月比+1.5%、コアが同+0.9%でした。総合が前月比0.1ポイント加速したものの、コアは変わらず、依然としてECB(欧州中央銀行)が掲げるインフレ目標(+2%弱)を下回る低位が続いています。エネルギーが同+4.7%と、最近の原油価格上昇を反映して、10月の同+3.0%から加速しましたが、コア品目であるサービス(同+1.2%)、工業製品(除くエネルギー)(同+0.4%)は、共に前月と変わりませんでした。
政治要因も絡む展開
雇用・物価動向は、引き続き性急な金融引き締めを必要とする状況とは言えないことを示していると思われます。14日に控えるECB理事会では、年明け後の資産購入プログラム(APP)縮小を決めた前回理事会(10月26日)の政策判断を追認するにとどまり、政策金利の引き上げは、少なくとも今後1年は実施されないと予想されます。
したがって、金融政策は当面、ユーロ相場を方向付ける材料にはなりにくいと見込まれます。一方、政治面では、英国がEU(欧州連合)離脱に際して負担する清算金について、英国とEUとの間で合意が近付いており、ユーロにとってプラス、ドイツで連立政権交渉が迷走していることはマイナスなど、好悪双方が交錯している状況です。結果としてユーロは、足元の好調な景気動向を好感する形で、1ユーロ1.2ドル前後で底堅く推移する公算が大きいと思われます。
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