メキシコ経済の現状とペソの展望
- 7-9月期の実質GDP成長率は前期比マイナスとなり、地震やハリケーンの負の影響が出ました。
- NAFTA再交渉の先行き不透明感の高まりや、政治リスクの高まりが通貨ペソの重しとなっています。
- ペソの割安感も高まっており、穏やかな景気回復が確認されれば、ペソは底打ちすると期待されます。
巨大地震とハリケーン被害の影響
10月31日、INEGI(メキシコ国立統計地理情報院)が発表した7-9月期の実質GDP成長率(速報)は、前年同期比+1.6%となり、4-6月期よりもやや減速しました。前期比は-0.2%となり、確定すれば13年4-6月期以来、約4年ぶりのマイナス成長となります。9月の2度の巨大地震と、ハリケーン襲来の影響が、成長の足かせとなりました。
セクター別内訳を見ると、農業は前期比+0.5%だったものの、石油を含む鉱業が同-0.5%、前期まで好調だったサービスも同-0.1%と、自然災害による経済低迷が浮き彫りとなりました。当局の発表によると、負の影響は一時的で、倒壊した家屋や建物の再建費用(約480億ペソ)など、今後は復興需要が見込まれており、外需の高まりを受けた製造業拡大もあいまって、今後は穏やかに景気は回復していくとのことです。なお同日、INEGIは、GDPの基準年を08年から13年に改定。鉱業のウェイトがサービスより小さくなったため、過去数四半期のGDP成長率が上振れしました。
一方、4回の会合を終えたNAFTA再交渉では、原産地規則の合意で難航しており、先行き不透明感の高まりがペソの重しになっています。ただ、NAFTA破棄という結論は出ておらず、来年1~3月期までの交渉延期が発表され、妥結に向け協議が引き続き行われる方針です。
政治リスク
政治リスクの高まりからペソは軟調な展開を余儀なくされています。18年8月に予定されている大統領選挙で、新進左派政党の国家再生運動(Morena)のロペスオブラドール党首の支持が高まっており、大衆迎合的な政権誕生に市場は警戒感を示しています。
米金利先高観によるドル高もペソの重しとなっていますが、原油相場と比較したペソの割安感も高まっており、穏やかな景気回復の確認とともに、ペソも底打ちから回復に転じると期待されます。
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