トルコの金融政策~波乱の中で急落したリラの行方は?

2017/10/27 <>
  1. 政策金利は据え置かれました。政府側から緩和圧力が強まっていますが、インフレ抑制を優先しました。
  2. 緩和圧力に加え、大統領の民族主義的な行動も目立ち、通貨リラにとって波乱要因となっています。
  3. 短期的な収束は難しいものの、中銀がインフレ抑制を維持できれば、リラは安定すると思われます

引き締め姿勢を断固維持

トルコ中央銀行(以下、中銀)は26日の金融政策委員会で、一連の政策金利をすべて据え置きました。足元でインフレ率が高まっており、インフレ抑制を優先しました。

9月CPIは前年同月比+11.20%と、4カ月ぶりに+11%台に乗せ、食料、衣料品など必需品に対するインフレ圧力が強まっています。中銀による民間への調査でも、予想インフレ率は高まっており、中銀は声明文で、インフレ目標に向かって、明らかに改善していることが確認されない限り、断固として現在の引き締め姿勢を維持するとしています。インフレ目標の上限は+7%であり、まだ当分は市場金利の高め誘導が続きそうです。

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政府からの圧力が重し

中銀が強い表現で引き締め姿勢の維持を謳(うた)った背景には、政府からの緩和圧力があります。20日、エルドアン大統領の首席経済顧問、セミル・エルテム氏が、中銀は利下げ余地があると発言しました。対米関係悪化で急落後、戻り歩調にあったリラは、これを受けて再び急落しました。

さらに、エルドアン大統領もイスラム途上国8カ国の貿易決済をドル建てではなく、現地通貨にすべきと表明、対米関係のさらなる悪化が懸念され、リラの下落に拍車が掛かりました。こうした、政府から中銀への圧力や民族主義的な行動は、カントリーリスクの増大と捉えられ、リラにとって波乱要因です。トルコは、好調な欧州経済と、ロシアの景気回復が後押しとなり、景気は堅調に推移しており、本来ならばリラは選好されるところでしょう。さすがに短期的な収束は難しい情勢ですが、中銀が強い意志で引き締め姿勢を堅持できれば、好調な景気もあいまって、リラは次第に安定すると思われます。

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