9月の米国雇用統計について~金融政策への思惑は?
- 非農業部門雇用者数は前月比-3.3万人でした。ハリケーンの影響から、7年ぶりの減少となりました。
- 失業率が4.2%、平均賃金が前年同月比+2.9%と好調で、労働需給ひっ迫の影響が出てきています。
- 現在の金融政策スタンスに対する信頼度が上がったと見られ、ドル、米長期金利は下支えられそうです。
集計方法の違いから結果に差
6日に米労働省が発表した9月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比-3.3万人でした。ハリケーン「ハービー」と「イルマ」の被害が大きく影響しました。05年8月末頃にハリケーン「カトリーナ」が大きな被害を出した時も、05年9月の速報値は前月比-3.5万人でした(現在、確報値は同+6.7万人)。当時、再び前月比+10万人を超えたのは05年11月でした。 一方、失業率は前月比-0.2ポイントの4.2%でした。非農業部門雇用者数とは集計方法※が違うことから、こちらは雇用環境のさらなる改善が示されました。これは、ハリケーンの被害が一時的であることを示していると思われます。ただし、05年当時にならうと、今後1、2カ月は回復度合いを確認する必要があります。
金融政策スタンスへの信頼度向上
民間企業時間当たり平均賃金(以下、単に賃金)は前年同月比+2.9%と、16年12月以来の高い伸びとなりました。7、8月共に同+2.5%でしたが、それぞれ同+2.6%、同+2.7%へ上方修正されました。 最近数カ月で賃金の伸びが上がったのは、雇用者数の60%強を占める中位時給業種☆(製造業とサービス産業の半分程度)の回復によります。労働需給のひっ迫で、賃金増加の裾野が広がり、今後のインフレ押し上げが期待されます。市場は、失業率と賃金の動向を現在の雇用環境のトレンドととらえ、発表後一時的にドル高・円安、長期金利上昇に振れました。年明け後の利上げの方向性について依然慎重なことから、現在はほぼ発表前に戻っていますが、FRB(米連邦準備理事会)の金融政策スタンスに対する信頼度は上がったと考えられ、ドル、米長期金利の下支えに寄与すると思われます。
☆ここでは、20ドル台(14年末時点)としている。
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