ECB理事会について~今後の金融政策とユーロ相場の展望
- 現行の政策を据え置きました。量的緩和縮小については10月の次回会合には発表される見通しです。
- 成長率上方修正、インフレ率下方修正の経済見通しを受け、慎重な政策スタンスが続くと見込まれます。
- ユーロは、発足後の動きから見て割高とは言えず、良好な景気に応じた堅調な推移が見込まれます。
量的緩和縮小は次回会合で発表へ
7日、ECB(欧州中央銀行)は定例理事会を開き、政策金利、資産購入プログラム(APP)を現行で据え置きました。APPによる資産購入残高は、8月末時点で約2.1兆ユーロに達しました。
今回は、年明け後の資産購入プログラムの行方が注目されていましたが、検討を開始した段階であり、様々な方策を検討中ということでした。ただし、記者会見でドラギ総裁は、10月にも全体像を得られそうだと発言し、次回会合(10月26日)での発表を示唆しました。また、声明文では、前回にはなかった為替相場の動向が述べられていました。急速なユーロ高の進行が、物価安定目標の達成に対する不確実性を高める一因になり得るとし、注視する必要があると、ユーロ高に対するけん制とも取れるものでした。
好調な景気と、上昇しないインフレ率
四半期毎に発表される景気、物価見通し(17~19年)では、17年の実質GDP成長率が0.3%上方修正された一方、HICP(ユーロ圏統合消費者物価指数)上昇率は18、19年が0.1~0.2%下方修正されました。進行したユーロ高の影響が考慮されたと見られます。
景気が好調な割にインフレ率が上昇しないのは先進国共通の流れであり、緩和縮小を慎重にさせる要因になっています。ECBでも同様です。利上げはまだ当分先になるのはもちろんのこと、量的緩和縮小も慎重なスタートになる可能性も否定できません。
ユーロは依然割高感出ず
為替市場では、ECB理事会の結果を受けてユーロ高に振れ、約1週間ぶりに1ユーロ1.2ドルを切り上がってきました。ユーロ高をけん制するような声明は盛り込まれたものの、ユーロ高に対する対策が特段なかったことがユーロを押し上げたとの見方がもっぱらです。
ユーロ高のスピードはともかく、現在のユーロ相場は過去と比較して、特に割高感はありません。99年のユーロ・ドル相場の発足以降の平均は1ユーロ1.2089ドルであり(9月7日時点)、むしろこれまでが割安であったとも言えます。
現在のユーロ高は、相対的な経済環境の良好さが背景にあると見られます。域内での政治リスクも後退する中、ユーロは選好されやすい状況にあると思われます。短期的な動きはともかく、今後もユーロは堅調な推移をたどると予想されます。アムンディでは、当面1ユーロ1.2~1.25ドルの範囲で推移する公算が大きいと見ています。
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