8月の米国雇用統計について

2017/09/04 <>
  1. 非農業部門雇用者数は前月比+15.6万人でした。プラス幅縮小も、安定した雇用増加が続いています。
  2. 民間企業平均賃金は前年同月比+2.5%と安定した伸びです。低インフレで加速力は限定的です。
  3. 賃金伸び率は年内にも+2%台後半が有り得ますが、基本、雇用・賃金の安定増加が続きそうです。

雇用増加は十分底堅い動き

1日に米労働省が発表した8月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+15.6万人でした。雇用の増加ペースは15年をピークに徐々に減速していますが、失業率が前回景気拡大期と同じ4%前半に達し、完全雇用に近付いているためと見られます。この状態で15~20万人の雇用増加は十分底堅いと言えるでしょう。

失業率は前月比+0.1ポイントの4.4%でした。失業者数が3カ月連続増加しました。景気拡大が長期化する中で、これまで就職を諦めていた層が就職活動を再開する動きや、より良い条件を目指した転職の動きが依然活発で、失業率を下支えしていると見られます。

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過去に比べて低い賃金伸び率は複合的要因による

民間企業時間当たり平均賃金(以下、単に賃金)は前年同月比+2.5%でした。5カ月間同じ伸び率です。

雇用の増加余地が次第に狭まる中で、求人は高水準を続けており、労働需給はひっ迫の度合いを強めています。賃金の伸び率は前年同月比+2.9%まで上がりました(16年12月)が、今後、それに近いレベルまで加速してくることは十分有り得ます。

ただし、基本的には雇用・賃金の増加ペースは緩やかな状態が続くと思われます。経済成長率、インフレ率、労働生産性伸び率が、いずれも前回の景気拡大期を下回る中で、高い賃金の伸びを達成することは難しいと考えられます。また、最近は企業業績の良好さが米国株の底堅さの一因になっていますが、労働分配率(企業収益に対する雇用者所得の割合)が過去最低に近い水準で推移するなど、企業の賃金引き上げに対する意識の低さも影響していると思われます。

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