7月の米国雇用統計について
2017/08/07
<投資信託>
- 非農業部門雇用者数は前月比+20.9万人と高水準を維持しました。民間中心の増加で良い形です。
- 緩やかながら安定した景気拡大の下、幅を狭めつつも着実な雇用増加が今後も期待されます。
- 低インフレ、低生産性を背景に賃金の伸びは低めですが、年後半も安定した伸びが期待されます。
民間部門は増加幅拡大
4日に米労働省が発表した7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比+20.9万人でした。6月の同+23.1万人からプラス幅は縮小したものの、引き続き堅調な雇用増加が続いています。しかも、民間に限ると、7月は同+20.5万人と、6月の+19.4万人よりもプラス幅は拡大しており、より良い形での雇用増加です。
失業者数を見ると、7月は698.1万人、前月比+0.4万人で、2カ月連続で増加しました。それでも、雇用者数が堅調なため、失業率は4.3%と、5月に並ぶ年初来最低となりました。これは、新たに、または再び就職活動を始める人(就職活動中は失業者にカウント)が増えても、それ以上に就職していく人が多いことを示しており、それだけ、米国経済の良好さが雇用市場からうかがわれます。
低い伸びでも、失速リスクも小さい賃金
民間企業時間当たり平均賃金(以下、単に賃金)は前年同月比+2.5%と、前月比横ばいでした。完全雇用が近いと言われる中、賃金はなかなか加速しません。
賃金の低い伸びは、低成長、低インフレ、低生産性という、従来と比べて、経済活動の「温度」が低いところから来るものと考えられます。これは、期待する経済成長率の水準が低く、過度に前向きな企業行動が手控えられる一方で、反動としての景気後退リスクの縮小にもつながっていると考えられます。結果として賃金の伸びは、低いと同時に、失速するリスクも縮小していると見られ、年後半も+2%台の安定した伸びが続く可能性が高まったと思われます。
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