日本の6月の雇用・物価・生産動向~「好調」に尽きる

2017/07/31 <>
  1. 雇用環境は、正社員の有効求人倍率が04年以来初めて1倍を超え、賃金押し上げが期待されます。
  2. インフレ率は依然ゼロ付近を推移しています。上向くには賃金増加を待つなど時間がかかりそうです。
  3. 鉱工業生産は8カ月連続の前年同月比プラスと好調です。先行きも増産が続くと予想されています。

インフレ率上昇への流れが徐々に進む

本日にかけて発表された日本の6月の主要指標ですが、総じて好調な状況が維持されています。28日には6月の雇用関連指標とCPI(消費者物価指数)が発表されました。

雇用指標で今回目を引いたのは、有効求人倍率が74年2月以来43年4カ月ぶりの1.5倍超え、さらに正社員の有効求人倍率が初めて1倍を超えたことです。正社員の数値は04年11月以来の指標なので不明ですが、おそらく少なくとも、80年代末期のバブル期以来と見られます。正社員の1倍超えは、人員不足を非正規雇用で対応され、全体的な賃金は上がらないという従来の状況から、賃金の増加傾向が今後進むことを示唆する動きです。

同日発表されたCPI(除く生鮮食品・エネルギー)は前年同月比横ばいと、ゼロ近辺が続いています。基本的には、雇用の需給ひっ迫が賃金や消費の増加を通じて物価を押し上げる方向と見られますが、時間はまだかかりそうです。現行の金融緩和も続けられる公算が大きいと思われます。

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世界経済の改善が増産傾向に寄与

31日に発表された6月の鉱工業指数によると、鉱工業生産、出荷は8カ月連続の前年同月比プラスです。これに7、8月の生産予測調査も考慮すると、さらに2カ月間はプラス傾向が続きそうです。

一方、鉱工業在庫は13カ月連続で前年同月比マイナスと、企業は在庫積み上げに慎重な様子がうかがえます。しかし、こうした企業の姿勢が息の長い生産増加につながっている面があると思われます。また、世界的に景気が上向きで、輸出が好調なことも背景にあり、当面の生産増加を支えると期待されます。

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