BOE、利上げ意見高まるも据え置き(英国)

2017/06/16 <>
  1. 15日のMPCでは政策金利、APPともに現行で据え置かれました。利上げ意見も多く見られました。
  2. インフレ率が+2%を上回るものの、内需に伸び悩みが見られ、据え置きの判断になったと見られます。
  3. 政局、政策も見極めつつ様子見が続くと見込まれ、通貨ポンドは当面動きが小さくなると思われます。

実質消費の減退が表面化

イングランド銀行(BOE、英中央銀行)は、14-15日にMPC(金融政策委員会)を開きました。現行の政策金利(0.25%)と、APP(資産購入プログラム、国債4350億ポンド、社債100億ポンド)を据え置きました。今回、8名の委員のうち3名が0.25%の利上げを主張しました。前回の1名から利上げの意見が多くなりました。

利上げの主張は、インフレ率の上昇からきていると見られます。5月のCPIは前年同月比+2.9%と、インフレ目標の+2%を4カ月連続で上回りました。しかし、賃金の伸びが鈍化しており、週平均基本給の前年比伸び率が2月以降CPI上昇率を下回りました。これは、実質消費を押し下げることにつながります。実際、17年1-3月期の実質個人消費は前期比+0.3%と、16年10-12月期の同+0.7%から減速しました。利上げ見送りは、インフレが実体経済を減速させる効果を重視したものと見られます。

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方向性を見出しにくい展開へ

6月8日の総選挙で、与党・保守党が予想外の過半数割れとなり、政権が弱体化するとの見方からポンドは下落しました。しかし、EU(欧州連合)離脱が決まった国民投票(16年6月)直後や、ハードBrexit(EU単一市場からの完全離脱)の見方が強まった16年10月と比べ軽微です。

CPIが為替相場や原油価格などに振らされているだけならば、金融政策は様子見が続くと思われます。EU離脱交渉の開始を控えるほか、政局の方向も見極めにくいため、ポンド相場は当面、方向性が見出しにくく、動きの小さい展開になりそうです。

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