トルコ経済の現状と今後の為替相場について~17年1-3月期GDP
2017/06/13
<投資信託>
- 実質GDP成長率は前年同期比+5.0%、政府の景気対策や輸出の回復が全体を押し上げました。
- 内政安定、欧州景気が好調、外国観光客底打ちなど、トルコ経済は内外から回復力を得ています。
- 安定成長、インフレ率頭打ちで利上げは一巡しつつあり、通貨リラは上昇余地が出てきたと見られます。
経済関係の深い地域との経済交流が活発化
12日、トルコ統計局が発表した17年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.0%でした。内政混乱で落ち込んだ16年7-9月期から急速に景気が回復しています。
景気の急回復を支えているのが個人消費、政府消費、輸出です。政府は、16年7月のクーデター未遂事件以来、通貨防衛と景気刺激を目的に政府支出を拡大させ、消費が活発化しました。また、輸出が前年同期比+10.6%と大幅に増加しました。欧州の景気回復が順調で、輸出が拡大しやすい環境になっています。また、ロシアとの関係改善で外国人観光客が戻り始め、4月は前年同月比+18.1%と1年9カ月ぶりにプラスに転じました。最盛期に比べると、まだ月当たり100万人程度少ないペースですが、今後の回復が期待されます。
投資資金回帰の流れ
トルコ経済が改善に向かっているのを受け、リラは対ドルで上昇、足元は1ドル3.5リラ台前半で昨年末近辺の水準となっています。一方、対円は、ドル安・円高の影響で足元は31.2円と、昨年末の33.2円から小幅な円高となっています。こうした中、株式市場ではイスタンブール100指数が年初来で20%以上上昇し、政治リスクで逃避していた投資資金が戻りつつあります。
CPI(消費者物価指数)は5月で前年同月比+11.7%と高騰していますが、エネルギー価格安定やリラの底打ちによって、今後低下してくる可能性があります。インフレ率抑制を目的に、トルコ中央銀行が市場金利を大幅に高め誘導しています(12%台、政策金利は8%)が、年後半は金利低下期待が強まると思われます。債券投資などの形で投資資金の流入が促され、リラは上昇余地が出てきたと思われます。
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