英国総選挙は「ハング・パーラメント」確定
- 与党・保守党が議席を減らし、全ての政党が過半数を取れない「ハング・パーラメント」が確定しました。
- Brexit(EU離脱)は変わらないものの、「ハード」から「ソフト」へと路線が変わる可能性があります。
- 政権弱体化は英ポンドにはマイナスですが、ソフト路線への転換はプラスであり下支えとなりそうです。
政権運営厳しさ増す
英国総選挙が8日実施されました。4月18日にメイ首相が解散総選挙を表明してからしばらくは、与党・保守党の圧勝が予想されていたものの、5月18日に発表のマニフェスト(政権公約)に掲げた高齢者福祉改革に対する国民の批判が高まり、野党・労働党との支持率が急接近し、過半数獲得が危うくなりました。
日本時間14時45分現在、定数650のうち643議席が決まり、与党・保守党の獲得議席数は313と最多です。しかし過半数(326)には届かず、「ハング・パーラメント(宙ぶらりんの議会)」が確定しました。この場合、保守党は他党と連立政権を組むか、少数与党の政権ということになり、政権運営は難しくなります。メイ首相の下、EU(欧州連合)から完全離脱するハードBrexit路線が模索されていましたが、ここにきてソフトBrexit(貿易、人的交流、財政貢献など、EUとの協調部分を残した形で離脱)へと路線が変わる可能性が急速に浮上してきました。
差引で英ポンドにはプラスか?
英ポンド相場は、解散総選挙が決まった当初は、政権基盤強化への期待で上昇していました。しかし、労働党との支持率が接近するに従い、対ドルはでもみ合い、対円はドル安・円高の影響もあって、ここまで下落してきました。
元々、Brexitは英国経済を弱体化させるとして、英ポンドは大きく売られ、ハード路線も懸念材料としてさらに売り込まれてきました。したがって、今後ソフト路線へ転換していくならば、その分、英ポンドにはプラスに作用してもおかしくありません。政権が弱体化することは、政策運営の不透明性が高まる観点から、中長期的に英ポンドにはマイナスと思われます。ただし、本日早朝の「保守党の過半数獲得厳しい」の報で英ポンドが大きく売り込まれ、政治要因の織り込みはひとまず一巡し、今後はソフト路線転換への期待が下支え要因となり、戻り余地が出てくるのではないかと期待されます。
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