オーストラリア(豪)の17年1-3月期GDP~豪ドル相場の展望
- 実質GDP成長率は前期比年率+1.1%でした。輸出、公共事業の減速から緩やかな成長でした。
- 17年は+3%程度の成長が予想されています。基調的なインフレ率が年内にも目標に到達しそうです。
- 米利上げを受けて豪ドルは上昇が抑えられていますが、年後半にかけて持ち直すと期待されます。
ほぼ事前の予想通りで緩やかな成長を維持
本日、豪統計局が発表した17年1-3月期の実質GDP成長率は前期比+0.3%、年率では+1.1%でした。ほぼ事前の市場予想と一致し、豪経済が緩やかに拡大していることが示されました。
主な項目別に動向を見ると、最終消費支出のプラス寄与が拡大した一方、固定資本投資、外需(輸出-輸入)がマイナス寄与となり、減速の主因でした。前者は地方の公共事業の減速、後者は、鉱物資源を中心に輸出の伸びが鈍化したことが背景にあります。このところ、成長率が大きく上下に振れる展開が続いていますが、ならすと+2~2.5%の緩やかな成長ペースが維持されています。IMF(国際通貨基金)、中銀の豪準備銀行共に17年については+3%程度の成長を予想しており、雇用・所得環境の改善で内需が、世界的な景気持ち直しで外需が、バランスして成長に寄与するとの見方です。
先行き金利上昇期待から豪ドルは持ち直しも
最近数カ月の豪ドル相場は、対米ドル、対円共に上値の重い展開となっています。米国で利上げが続いており、対米金利差縮小が豪ドル安要因となっています。さらに、原油価格下落などから商品市況が軟調なことも影響しています。ただし、商品市況については、昨年末頃の上昇に出遅れた分割安であり、影響は限定的です。
底堅い消費需要を背景に、インフレ率は上昇方向にあります。中銀が注目するCPI(消費者物価指数)トリム平均(価格変化幅の上下35%相当の品目を算入)は、17年1-3月期は前年同期比+1.9%とインフレ目標(+2~3%)に近付き、年後半には目標圏内に到達しそうです。今後は、先行き金利上昇期待が高まり、豪ドルは持ち直しに転じることが期待されます。
※CRB商品指数:国際商品市況の動きを示す代表的な指数。米英の先物市場に上場する19品目で構成されています。
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