英国の17年1-3月期GDP速報について
2017/05/01
<投資信託>
- 実質GDP成長率は前期比年率+1.2%でした。サービス業を始め、幅広い業種で減速が見られました。
- Brexit以降の景気拡大は一服です。ポンド安によるインフレ進行が回復ペースを相殺した感もあります。
- 通貨安の景気刺激効果は年内続くと見込まれますが、EU離脱を意識した投資手控えが懸念材料です。
個人消費などが減速方向に寄与か
28日、ONS(英国家統計局)が発表した17年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.2%でした。16年4-6月期から3期続いた年率+2%台から減速しました。
今回は、個人消費の減速が影響したと推察されます。業種別GDPによると、サービス業が前期比+0.3%と、16年10-12月期の同+0.8%から減速しました。また、モノの消費を見た小売売上高は、1-3月期は前期比-1.5%でした。個人消費減速の要因として、英ポンド安によるインフレ加速が考えられます。1-3月期の小売物価は前年同期比+3.0%と、3年半ぶりに+3%台へ上昇しました。この間、賃金の伸びに大きな変化はなく、実質的な購買力が後退したと思われます。
今後の英国景気については、ポンド安の刺激効果が年内続く一方、EU(欧州連合)離脱を懸念した企業による投資手控えが景気を減速させると思われます。ただし、急激な減速の可能性は低く、+1%台の緩やかな景気拡大が続くと予想されます。
景気減速よりも政権安定への期待からポンドは強含み
ポンド相場は持ち直しています。特に、メイ首相が解散総選挙を表明した19日以降、政権安定への期待が膨らみ、ポンドを買い戻す動きが強まりました。
弱めなGDP統計の発表後もポンドは底堅く推移しています。EU離脱交渉に対する不透明感が残るものの、EU懐疑派の勢いがやや鈍っていることもあり、政治リスク後退が好感されていることも、当面ポンドにとって追い風になると思われます。
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