憲法改正案の国民投票、賛成多数で承認(トルコ)
- 16日、大統領の権限を強化する憲法改正案の国民投票が実施され、賛成多数で承認されました。
- 都市部とクルド人居住地域に当たる南東部で反対が目立ちましたが、地方中心で賛成が上回りました。
- 当面トルコリラ相場は落ち着く一方、中長期的にはエルドアン大統領の政策手腕が問われます。
賛成多数も僅差
トルコでは16日、大統領の権限強化を中心とした憲法改正案の国民投票が実施されました。開票結果は賛成51.4%、反対48.6%と、改正案は承認されました。沿海・都市部や反政府色の濃い南東部のクルド人居住地域で反対多数が見られたものの、内陸・地方で賛成多数が目立ちました。投票率は85.3%と高水準でした。事前の世論調査ではおおむね賛成52%、反対48%と、結果はほぼ下馬評通りといえますが、エルドアン政権によって野党の活動や報道に制限が加えられていたた割に、結果は僅差であったと思われます。
これまで、トルコの大統領は形式的な存在でしたが、憲法改正が承認されたことで議院内閣制は廃止され、大統領が直接行政権を持つ大統領制に移行することとなります。また、国会の解散権や司法の人事権も握るなど、三権(立法、行政、司法)のすべてに対して権限を行使できる強大な権力を握ることになり、自由主義諸国からは半ば独裁政権という批判も出ているようです。
通貨価値安定には信用向上のための政策
それでも通貨リラは、本日朝方の対ドル相場が1ドル3.64リラ程度と、週末NY終値の同3.70リラから上昇しています。政治イベントを通過し、ひとまず政局が安定するという安心感が影響したと思われます
しかし、中長期的に通貨価値を安定させるには、短期対外債務が多いなどの脆弱(ぜいじゃく)さを抱えるトルコの経済構造を是正し、対外的な信用を回復させていくことが肝要でしょう。そのため、今後はエルドアン大統領の経済政策に対する手腕が問われていくことになると見込まれます。一時的な金融引き締めを甘んじて受け入れてでも国内貯蓄を潤沢にする一方、国内投資を促して輸入依存を是正し、対外収支の改善を図ることなどの政策が求められていくことになると思われます。
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