ブラジル、5会合連続の利下げ~レアル相場の方向性は?
- ブラジル中央銀行(以下、中銀)が政策金利を11.25%に引き下げました。1.00%の利下げです。
- 好ましいインフレ見通しを受け、弱含む景気下支えのため、約8年間で最大の利下げ幅となりました。
- 金融緩和サイクルや収支改善を背景に、通貨レアルは穏やかながらも堅調に推移すると思われます。
利下げ幅拡大
4月11-12日のCopom※で、政策金利のSELIC◇金利が12.25%から11.25%へと5会合連続、全会一致で引き下げられました。1.00%の利下げは、09年6月以来で最大であり、弱含む景気テコ入れのため、大幅な金融緩和サイクルに入ったと思われます。
7日に発表された3月のCPIは、2年連続の深刻な景気後退を背景に、前年同月比+4.57%と、10年以降で最小の上昇率となりました。中銀目標中央値の+4.5%に接近したことで、市場では1%の大幅利下げへの期待が高まり、予想通りの運びとなりました。中銀は声明で、好ましい物価環境の中、現在の利下げペースは適切としながらも、①世界経済の不確実性、 ②構造改革の進展、③食料下落などの副次的効果、④経済活動の回復のペースなどをリスク要因に挙げ、今後の金融緩和サイクルを前倒しするかどうかは、これらリスク要因次第としています。市場が期待を寄せるテメル政権の構造改革ですが、その柱の1つである年金改革法案は、今後10年で社会保障関連費7000億レアル削減につながると期待される一方、反対勢力に推されて骨抜きになる可能性が懸念されています。また、最高裁が汚職への関与で現職閣僚を含む100名近くの捜査を許可、年金改革の進展の妨げになる恐れがあり、注目が集まっています。
※Copom(Comitê de Política Monetária):金融政策委員会 ◇SELIC(Sistema Especial de Liquidação e Custódia):決済・預託特別システム
緩やかなレアル高
政治的リスクは不透明なものの、インフレ急減速を受けた大幅な金融緩和サイクルは、ブラジル経済の下支えとなり、17年はプラス成長に浮上するという期待感からレアルは堅調に推移し、2月には15年6月以来の高値をつけました。
また、3月貿易黒字が過去最高となるなどの収支改善もレアルの追い風となり、今後は緩やかなレアル高が続くと見込まれます。
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