南アフリカGDP速報と金融政策、相場の展望
- 10-12月期実質GDP成長率は前年同期比+0.7%、16年成長率は+0.3%と15年から減速しました。
- 資源需要の回復が一服、鉱業が前期比-11.5%となり、GDPの最大のマイナス寄与となりました。
- ゴーダン財務相による財政再建の取り組みや、資源・金利高を背景に、ランドは底堅く推移しそうです。
鉱業が一服、マイナス寄与に
7日、南アフリカ統計局が発表した16年10-12月期実質GDP成長率は、前年同期比+0.7%で前期と変わらず、16年通年では+0.3%と15年の+1.3%から減速し、マイナス成長となった09年以来の低い伸びとなりました。
前期比年率では-0.3%と、7-9月期の+0.4%からマイナスに転じました。業種別の内訳を見ると、鉱業・採石業が前期比-11.5%となり、マイナス成長の最大寄与(-0.9%)となりました。世界的な景気拡大を背景に好調だった資源需要が一服し、鉄鉱石・金などが生産減になったことが原因です。またここ最近のランド高が、輸出企業の重しとなり、製造業も前期比-3.1%と成長率にマイナス寄与(-0.4%)となりました。一方、史上最悪の干ばつの影響が長引いていた農業に下げ止まりの兆しが見られることや、7-9月期に過去最悪を記録した失業率が10-12月は改善するなど、目先に明るい材料も出始め、一段の景気低迷は避けられると思われます。
ただ、政治的不透明を背景に、構造改革は手つかずのままであり、財政再建の取り組みの遅れに警鐘を鳴らす格付け会社が4月の見直しで、投機的水準へと格下げするリスクもくすぶっています。
一時18ヵ月ぶり高値
ゴーダン財務相は予算演説で、高所得者層への新たな増税や、燃料・アルコールなどの追加的な税の導入を図り、財政赤字削減を目指す方針を示しました。格下げ回避に向けた真摯な取り組みを市場は評価、ランドは対ドルで一時約18ヵ月ぶりの高値をつけました。
一方、米利上げや、市場信任の厚いゴーダン氏をズマ大統領が更迭する懸念などが、ランドにとって重しですが、緩やかな世界経済の拡大を背景とした、商品価格の回復や、相対的に高い金利が妙味となり、当面ランドは底堅い展開が続くと思われます。
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